大腸鋸歯状病変およびマイクロサテライト不安定性(MSI)を呈する大腸癌を含めた計55株の大腸腫瘍オルガノイド株を樹立し,詳細な分子生物学的検討を行った.オルガノイドは患者体内における組織学的特性を反映しており,固有の遺伝子発現や遺伝子変異のパターンを有していた.MSI大腸癌は多数の遺伝子変異を有しており,増殖因子が極めて乏しい環境でも発育可能であった.移植による担癌マウスモデルにおいても同様の傾向が保持され,MSI大腸癌オルガノイドは有意に腫瘍形成能が優れていた.以上の結果より,MSI大腸癌は他の大腸癌とは生物学的特徴が全く異なる疾患であり,個別の治療アプローチの重要性が示唆された.
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