我々はこれまでに、グリオブラストーマ(GBM)においてグリオーマ幹細胞が正常脳の血管を引き込み、血管内皮細胞と浸潤複合体を形成することを見出した。本研究ではその現象の分子基盤を解明し、浸潤複合体を標的とする新しい抗浸潤療法の開発を目標とした。マウスGBMモデルを用いた解析より、浸潤複合体形成を規定する血管内皮細胞側の因子を同定することができた。さらに、培養脳切片を用いた浸潤抑制剤の評価により、グリオーマ幹細胞のエネルギー産出を抑制する薬剤が抗浸潤効果を示すことを見出した。代謝阻害剤の中から抗浸潤効果が高い薬剤の同定に成功し、現在、動物における抗浸潤療法のプロトコール構築を開始している。
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