研究課題
変形性関節症を制御するシグナルとして、主にNotch/Hes1/CaMK2経路と、NF-kappaB/HIF-2alpha経路について詳細に解明した。Notch/Hes1/CaMK2経路については、これまでの研究でJag1-Notch1,2-Rbpjという古典的Notchシグナル経路が変形性関節症を促進的に制御することを証明していたが、本研究課題の中で、Notch1,2の下流が転写因子Hes1であり、Hes1はリン酸化酵素CaMK2とタンパク複合体を形成することによって軟骨分解酵素、炎症関連分子を誘導し、関節軟骨を変性させることを解明した。NF-kappaB/HIF-2alpha経路については、NF-kappaBの主要転写因子Relaに注目し、軟骨細胞でRelaを完全に消失されると軟骨細胞は死んでしまい、関節軟骨は変性してしまうが、軟骨細胞でRelaを半分程度に減少させた場合は反対に変形性関節症の促進は抑制され、転写因子HIF-2alphaや炎症関連分子の誘導も抑えられることを報告した。NF-kappaBシグナルは活性化されるとHIF-2alphaを誘導して軟骨を変性させてしまうが、活性化されない状態でもわずかに核に存在するRelaが抗アポトーシス因子を誘導して細胞を保護していることが証明され、NF-kappaBシグナルの適度な活性制御が関節軟骨の維持に重要であることが分かった。またこれらとは別に、転写因子p63が関節軟骨細胞の細胞死を制御していることも突き止め、報告した。転写因子p63は関節軟骨の中間層から深層に発現しており、軟骨細胞においてアポトーシス促進分子を誘導して細胞のターンオーバーに関わることをマウス、細胞の実験によって証明した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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