研究課題/領域番号 |
25253089
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
越智 光夫 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
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研究分担者 |
安達 伸生 広島大学, 大学病院, 准教授 (30294383)
味八木 茂 広島大学, 大学病院, 講師 (10392490)
亀井 直輔 広島大学, 大学病院, 病院助教 (70444685)
中佐 智幸 広島大学, 大学病院, 病院助教 (60467769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組織再生 / 間葉系幹細胞 / エクソソーム / microRNA |
研究実績の概要 |
本年度は、1. 間葉系幹細胞(MSC)より分泌するエクソソームが組織再生能を有することを明らかにした。MSCは培養上清中にエクソソームを分泌しており、このエクソソームは筋芽細胞(C2C12)の分化を促進したが、エクソソームを除いた培養上清中では分化促進効果を有意に減少させていた。また、このエクソソームは、血管内皮内皮細胞において細胞遊走能および血管形成能を促進させた。さらに、筋損傷マウスへのエクソソーム投与は、筋再生を促進させた。このエクソソーム中には、筋再生関連のサイトカインなどはエクソソームを除いた培養上清中比べて極めて低濃度であった。そこで、エクソソーム中のmiRNAをプロファイリングした結果、豊富に含まれていたmiRNAをC2C12、血管内皮細胞に導入したところ筋分化および血管新生の促進効果を示した。以上の結果は、FEBS Lettに報告した。2.エクソソーム分泌不全マウスと考えられるCD9 KOマウスの骨折モデルを作製し、解析を行った。CD9 KOマウスの骨折モデルは、骨折治癒が遅延することが明らかになり、MSCエクソソームを局所投与することでその遅延から回復することが明らかになった。しかし、骨肉腫細胞株由来エクソソームの投与による回復効果は示さなかった。さらに、野生型マウスへのMSCエクソソームの投与は、骨折治癒を促進することが明らかになった。MSC由来のエクソソームを蛍光色素でラベル化し、野生型マウスを用いたコントロールおよび骨折モデルマウスの尾静脈投与により骨折部へのエクソソームの局在を In vivo 発光蛍光イメージングシステムにより確認した。また、取り込み細胞を同定するために各細胞マーカーを使った組織免疫染色法による多重染色により細胞種を同定する予定である。以上の結果よりさらなる研究により組織再生の新たな機構の解明と特定のmiRNAを含んだエクソソームによる治療法の可能性を示唆できると期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
間葉系幹細胞由来のエクソソームが、筋分化および血管新生の促進を介して筋再生を促進すること、そのエクソソーム中のmiRNAが筋分化および血管新生に関与することを明らかにし論文に報告した。また遺伝子改変マウスを用いた実験および骨折モデルへのエクソソーム投与も順調に進行していることからおおむね計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソーム分泌不全の遺伝子改変マウスなどを用いてエクソソームの組織再生における重要性を証明していく。また、エクソソーム中のmiRNAや蛋白質の解析を行い責任因子を絞り込む。幹細胞より分泌する組織再生効果のあったエクソソーム中に含まれていたmiRNAを用いてより組織修復能をもつエクソソームによる治療への応用を試みと同時に、投与によるエクソソームの局在を確認する。以上を実施することで、組織再生の新たな機構の解明と特定のmiRNAを含んだエクソソームによる治療法の可能性を示す。
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