研究課題/領域番号 |
25253100
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10201071)
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研究分担者 |
細矢 哲康 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00157033)
堀田 正人 朝日大学, 歯学部, 教授 (10157042)
小竹 宏朋 朝日大学, 歯学部, 講師 (40440565)
西谷 佳浩 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60325123)
荒木 孝二 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70167998)
久保 至誠 長崎大学, 大学病院, 准教授 (80145268)
佐野 英彦 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90205998)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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キーワード | 保存修復学 / 接着歯学 / 接着性レジン / 歯質表面損失症候群 |
研究実績の概要 |
1.TSL臨床疫学調査結果の解析とTSL評価法の最適化 TSL臨床疫学的調査結果の解析として、光干渉断層計(OCT)を用いたくさび状欠損の進行プロセスおよび進行速度測定法を確立し、その成果を論文としてまとめ、学術雑誌に投稿中である。1ステップセルフエッチング接着システムの8年後の生存率は96%であり、良好な成績である一方、それらの半数には辺縁着色が生じていた。 マイクロスコープによるTSL歯の観察結果から、下顎切歯においては咬耗部分の20%弱が象牙質であり、この平均ラインを象牙質知覚過敏症罹患患者の臨床症状と比較することでTSLにおける象牙質知覚過敏症の判断基準に応用できる可能性が示唆された。また、フラクタル次元を用いた咬耗の診断法の開発として、自動削合により咬頭断面のフラクタル次元は減少する傾向を示したことから、咬合面のフラクタル次元が咬耗の程度を診査する指標となる可能性が示唆された。さらに、口臭の主な原因である硫黄化合物は接着強さに影響はないものの、エナメル質の表面を塑像化することから、TSLの成因となる可能性が考えられた。 2.TSL治療接着システムの接着性の評価 TSL治療接着システムの開発を目的として、う蝕透明象牙質に対して白金ナノコロイドを接着システムの前処理剤として応用した場合に、接着強さは向上した。またTSL歯に対するMMPsインヒビターを配合した接着システムの接着強さは、EDC 1%、CHX 0.5%の配合においては低下しないことが明らかとなった。さらにエナメル質に限局して発症する酸蝕歯に対するコーティング材としてのフロアブルコンポジットレジンは20N前後の薄膜接着強度を示し、ArFエキシマレーザー照射によって処理した象牙質では、従来の樹脂含浸層は形成されずにモノマーが浸透することによってアパタイトリッチな接着界面が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおむねは予定通りに研究が進捗しているものの、多施設の歯科外来でTSL患者の調査を行うにあたり倫理審査委員会の承認が必要となるが、当初予定の調査方法では必要サンプル数のデータ収集に時間がかかることから、調査方法に一部変更を加えた結果、再度の倫理審査委員会の承認を受けることとなり、現在承認待ちの状態である。また、TSL治療接着システムのin vivoでの評価については、予定していた北海道大学動物実験施設が改修工事により使用できないことから中断している。
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今後の研究の推進方策 |
倫理委員会の承認が得られ次第、多施設でのTSL患者の調査を再開する。また、H26年度同様にTSL臨床疫学調査結果の解析とTSL評価法の最適化、TSL治療接着システムの接着性の評価について研究を進める。 本年度は研究期間の最終年度となることから、これまで得られたすべての知見を総括し、TSL進行程度の判断基準の確立やTSL治療接着システムに関して、学会発表、論文投稿などの方法で情報を発信する予定である。
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