研究課題
咬耗、摩耗、酸蝕に代表されるTooth Wearは、う蝕、歯周病に次ぐ第3の歯科疾患として象牙質知覚過敏症とならんで注目されている。そこで本研究では、歯質表面損失症候群(TSL)の診断法の確立と接着技法を応用した治療法の開発を目的として検討を行い、以下の結果を得た。1.TSLの臨床疫学的調査:岡山大学病院歯科外来において、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の倫理委員会承認(承認番号946)の下に患者3名の咬合歯の調査診断を行った。その結果、咬耗が進行するにつれて接触面積が増大することが示された。2.TSL評価法の最適化:デジタルマイクロスコープによるTSL歯の観察結果から、下顎切歯においては咬耗部分の20%弱が象牙質であり、この平均ラインを象牙質視覚過敏症患者の臨床症状と比較することでTSLにおける象牙質知覚過敏症の判断基準に応用できる可能性が示唆された。また口臭の主な原因である硫黄化合物のTSLへの影響について検討した結果、H2Sのエナメル質への露出はエナメル質の結晶構造を変化させ、エナメル質の表面を塑像化することが示された。3.TSL治療接着システムの接着性の評価:TSL治療接着システムの開発を目的として、TSL歯に対するMMPsインヒビター配合接着システムの接着強さは、EDC 1%、CHX 0.5%の配合においては低下しないことが示された。さらにArFエキシマレーザーを照射した象牙質では、象牙質表層2μm程度のボンディング材の侵入を示唆する結果を得た。また歯面コーティング材が人工的に作製した酸蝕歯のエナメル質、象牙質に20N前後の薄膜接着強さを示した。う蝕透明象牙質に対して白金ナノコロイド配合接着システムを応用した場合に接着強さは向上した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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