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2013 年度 実績報告書

接合領域接近法による東アフリカ牧畜社会における緊急人道支援枠組みのローカライズ

研究課題

研究課題/領域番号 25257005
研究種目

基盤研究(A)

応募区分海外学術
研究機関静岡県立大学

研究代表者

湖中 真哉  静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (30275101)

研究分担者 孫 暁剛  筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (20402753)
波佐間 逸博  長崎大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20547997)
松浦 直毅  静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60527894)
内藤 直樹  徳島大学, その他の研究科, 准教授 (70467421)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワード国際研究者交流 / ケニア / ウガンダ / アンゴラ / 牧畜社会 / 人道的支援 / 地域研究 / ローカライズ
研究概要

平成25年度は、静岡県焼津市で2日間にわたり第1回研究集会を開催し、4件の研究報告をめぐって討議すると同時に、研究組織全体で「スフィア・プロジェクト(以下SPと略記)」の検討作業を実施した。その結果、下記の課題が明らかになった。1)人道支援に関して、タイムスパンを考慮し、被災から復興にかけての過程を時系列で整理したモデルを構築する必要がある。2)SPではノンフード・アイテムの水準が高く設定されており、東アフリカ牧畜社会では被災していない世帯でもこの水準を達成できていない。3)SPの医療面の支援では近代医療が前提となっており、多元的な医療行動・在来の知識が考慮されていない。4)SPのフード・セキュリティは、農耕民を前提としており、牧畜民にかかわる内容が極めて乏しい。
また、各班は、各担当課題との関連において予備的サーヴェイを実施した。調査の成果概要は以下の通りである。1)ノンフード・アイテム:難民支援機関が配給している容器が牛乳の保管に適さない等の問題が発生している。また、牧畜社会における国内避難民は、避難の際に、優先的に持ち出している物品があり、その物品は民族集団ごとに相違がみられる。2)医療:緊急支援後の牧畜社会では、暴力紛争の社会的な傷痕とともに生きる日常世界を再構築してゆくローカルな戦術が展開している。3)フード・セキュリティ:旱魃時のフード・セキュリティにおいては、継続的な食糧援助と、家畜の避難時期と場所が重要であることが判明した。4)教育:内戦が長かったスーダン南部では、ウガンダで基礎教育を受けることが常態化していた。5)農耕社会では、帰還難民が国境を越えた品種改良や商品作物の販売によって生計を維持しており、牧畜社会の難民の生計維持体系との比較が期待できる。以上のように、東アフリカ牧畜社会における人道支援上の様々な問題が多角的に浮き彫りになりつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度に計画していた1)研究集会の開催によるスフィア・プロジェクトの再検討、2)臨地調査班、広域比較班による予備的サーヴェイの実施、3)研究成果公開用のホームページの開設は全て予定通りに実施することができた。平成25年度は、研究期間の初年度にあたるため、東アフリカ牧畜社会における緊急人道支援のローカライズをめぐる問題点の洗い出しが中心的な課題であった。「研究実績の概要」欄に示したように、ノンフード・アイテム、医療、フード・セキュリティ等に関して、多くの問題点が浮き彫りになりつつあり、研究組織全体として、取り組むべき課題を絞り込むことができたため、順調に進展していると判断できる。研究成果の公開についても、速報できる臨地調査成果については、順次、ホームページで公開することができた。

今後の研究の推進方策

平成25年度の臨地調査成果は、既にホームページで速報しているが、より詳細な成果報告については、平成26年度に開催が予定されている第2回研究集会で報告し、研究組織全体で討論する予定である。洗い出された問題をそれぞれ検討して、絞り込んだ課題を分析によって深めていくことを予定している。
第1回研究集会では、各臨地調査者が調査地で参照する共通調査項目を策定することが提案され、各臨地調査者が各自の研究課題のみならず、研究組織の他の研究者の課題にも目配りしながら緊急人道支援の各分野に視野を広げて調査を実施する研究推進方策を新たに採用した。研究計画について特に大きな変更や問題点はないが、広域比較班や評価班も早期に臨地調査を実施することにより、比較や評価をより適切に行えるように配慮した。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) 図書 (9件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 「東アフリカ牧畜社会におけるヘルスケア:ローカリティにもとづく医療支援に向けて」2013

    • 著者名/発表者名
      波佐間 逸博
    • 雑誌名

      『アフリカ研究』

      巻: 83 ページ: 17-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「ザンビア西部に住むアンゴラ難民の生計戦略と今後のアフリカ研究と協力についての提言」2013

    • 著者名/発表者名
      村尾るみこ
    • 雑誌名

      ARDEC: world agriculture now

      巻: 49 ページ: 20-25

  • [学会発表] Food Security under the Human Security Crisis: The Case of Internally Displaced Persons in East African Pastoral Societies2013

    • 著者名/発表者名
      Shinya Konaka
    • 学会等名
      International Symposium: Anthropological Study of Food Security
    • 発表場所
      大阪大学大学会館
    • 年月日
      20131220-20131220
  • [学会発表] Security Enforcement and Local Creativity of Peace in Karamoja, Northeastern Uganda2013

    • 著者名/発表者名
      Itsuhiro Hazama
    • 学会等名
      The Third Forum on “Comprehensive Area Studies on Coexistence and Conflict Resolution Realizing ‘African Potentials’”
    • 発表場所
      Munuki Hall, Juba Grand Hotel, Juba, South Sudan
    • 年月日
      20131208-20131208
  • [学会発表] 「ケニアにおけるNGOの学校支援―参加型開発をめぐって」2013

    • 著者名/発表者名
      内海成治
    • 学会等名
      アフリカ教育研究フォーラム第12回大会
    • 発表場所
      早稲田大学アジア太平洋研究科
    • 年月日
      20131026-20131026
  • [学会発表] 「ヘルス・ケアの果てる場所、東アフリカ牧畜社会」2013

    • 著者名/発表者名
      波佐間 逸博
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第50回学術大会
    • 発表場所
      東京大学大学院総合文化研究科
    • 年月日
      20130922-20130922
  • [学会発表] An Anthropological Perspective towards the Post-globalization Era: The Case of Internally Displaced Persons in East African Pastoral Societies2013

    • 著者名/発表者名
      Shinya Konaka
    • 学会等名
      IUAES (International Union of Anthropological and Ethnological Sciences) World Congress 2013
    • 発表場所
      University of Manchester
    • 年月日
      20130807-20130807
  • [学会発表] 「貧困の物質文化─東アフリカ牧畜社会における国内避難民の事例─」2013

    • 著者名/発表者名
      湖中 真哉
    • 学会等名
      日本文化人類学会第47回研究大会
    • 発表場所
      慶應義塾大学三田キャンパス
    • 年月日
      20130608-20130608
  • [学会発表] 「アンゴラ出自集団の経済活動」2013

    • 著者名/発表者名
      村尾るみこ
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第50回学術大会
    • 発表場所
      東京大学大学院総合文化研究科
    • 年月日
      20130525-20130525
  • [学会発表] Digital Media, Market and Trust: the Socioeconomic Relationships between Somali Refugees and Host Communities in Kenya2013

    • 著者名/発表者名
      Naoki Naito
    • 学会等名
      Canadian Association of African Studies
    • 発表場所
      Carleton University, Canada
    • 年月日
      20130501-20130503
  • [学会発表] 「南スーダンにおけるNGOによる緊急支援」2013

    • 著者名/発表者名
      内海成治
    • 学会等名
      アフリカ教育研究フォーラム第11回大会
    • 発表場所
      京都女子大学発達教育学部
    • 年月日
      20130413-20130413
  • [図書] Intergroup and Face-to-Face Relations among East African Herders. In V-Y. Mudimbe and Anhtony Simpson, eds., Recontextualizing Self & Other Issues in Africa.2014

    • 著者名/発表者名
      Itsuhiro Hazama
    • 総ページ数
      35-52
    • 出版者
      Africa World Press
  • [図書] 「序章 『社会的包摂/排除』現象への人類学的アプローチ」内藤直樹・山北輝宏 (共編) 『社会的包摂/排除の人類学:開発・難民・福祉』2014

    • 著者名/発表者名
      内藤直樹
    • 総ページ数
      1-14
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 「アンゴラ移住民のマーケット活動」大林稔、阪本公美子、西川 潤(編)『新生アフリカの内発的発展―住民自立と支援』2014

    • 著者名/発表者名
      村尾るみこ
    • 総ページ数
      124-147
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 「アンゴラ定住難民の生存戦略は持続可能か」内藤直樹・山北輝宏 (共編) 『社会的包摂/排除の人類学:開発・難民・福祉』2014

    • 著者名/発表者名
      村尾るみこ
    • 総ページ数
      120-137
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 「教育協力と国際ボランティア」山田恒夫(編)『国際ボランティアの世紀』2014

    • 著者名/発表者名
      内海成治
    • 総ページ数
      46-61
    • 出版者
      放送大学教育振興会
  • [図書] 「フェアートレードと国際ボランティア」山田恒夫(編)『国際ボランティアの世紀』2014

    • 著者名/発表者名
      内海成治
    • 総ページ数
      77-76
    • 出版者
      放送大学教育振興会
  • [図書] 「NGOと国際ボランティア」山田恒夫(編)『国際ボランティアの世紀』2014

    • 著者名/発表者名
      内海成治
    • 総ページ数
      154-173
    • 出版者
      放送大学教育振興会
  • [図書] 「企業CSRと国際ボランティア」山田恒夫(編)『国際ボランティアの世紀』2014

    • 著者名/発表者名
      内海成治
    • 総ページ数
      174-193
    • 出版者
      放送大学教育振興会
  • [図書] 「ボランティアの意味と教育課題―学校へのボランティアの導入をめぐって」上田学・村田翼夫(編)『現代日本の教育課題』2013

    • 著者名/発表者名
      内海成治
    • 総ページ数
      123-145
    • 出版者
      東信堂
  • [備考] 接合領域接近法による東アフリカ牧畜社会における緊急人道支援枠組みのローカライズ

    • URL

      http://www.localizationtoafrica.org

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公開日: 2015-05-28  

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