研究課題/領域番号 |
25257005
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (30275101)
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研究分担者 |
波佐間 逸博 長崎大学, その他部局等, 准教授 (20547997)
松浦 直毅 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60527894)
内藤 直樹 徳島大学, その他の研究科, 准教授 (70467421)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 牧畜社会 / 人道的支援 / 地域研究 / ローカライズ / ケニア / ウガンダ / 接合 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、本研究の中間総括年度にあたるため、国際ワークショップの開催により、これまでの臨地調査等による研究成果を国際的に公開し、国際的討議を踏まえて、東アフリカ牧畜民に対する人道支援枠組みを再検討する作業に取り組んだ。 まず、研究組織全体で、7月に静岡市において2日間にわたり第2回研究集会を開催し、7件の臨地調査による研究報告を行い、討議を行った。 そして、研究組織全体で、12月に2日間にわたって、静岡市の国際会議場において、国際ワークショップ"Reconsidering the Basic Human Needs for the East African Pastoralists: Towards the Localization of Humanitarian Aids "を開催した。海外からSaverio Kratli(英国)、Sada Mire(オランダ)、Mesfin Taffese(エチオピア) の3名の研究者/実務家を招聘し、14件の報告と質疑応答、総合討論を実施した。3氏とも本研究の趣旨と成果を高く評価し、レジリアンス(kratli)、文化的価値の不可視性(Mire)、国家からの周縁化(Taffese)等の観点から本研究に新たな観点を提供した。 その結果、本研究が到達したヴィジョンは「内的シェルターモデル(inner shelter model)」として暫定的に総括できる。これまでの人道支援においては、無力な当事者に対して外部からパターナリスティックにシェルターを提供することが暗黙の前提とされており、被災者の側の内的なシェルターは不可視とされてきた。これに対して接合領域接近法は、人々の文化的価値観に即して自発的に形成される内的なシェルターを可視化し、それと外部からのシェルターを相補的に調整する方法論を提起できる可能性を秘めていることが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに中間総括年度にあたる平成27年度に海外から研究者を招聘して、国際ワークショップを開催し、これまでの臨地調査成果を報告すると同時に、海外の研究者からの新たな観点をそこに追加することができたため、これまで国内のアフリカ研究者を中心に取り組んできた本研究を国際水準にまで大きく進展させることができたといえる。 また、国際ワークショップに関する記事が「静岡新聞」2015年12月11日付朝刊に掲載され、一定の社会的関心を集めることができた。国際ワークショップの要旨やプログラム等については、既に日本語版と英語版のウェブサイトにおいてPDFファイルで公開しており、国際ワークショップについての一定の公開作業も順調に進んでいる。 少なくとも、この科研プロジェクトが中間総括として計画した段階に予定通り到達したといえ、達成度は順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度に開催した国際ワークショップの成果を踏まえつつ、国内での学会報告と英文での研究成果出版を進める方針である。また、エビデンスに基づいた人道支援のモデル化を進め、政策提言書の起草に向けて準備を行うことを計画している。臨地調査については、必要に応じて、研究成果報告論文完成のための補充調査を実施する方針である。 また、平成28年6月に開催される日本アフリカ学会第53回学術大会では、フォーラム「東アフリカ牧畜社会における人道支援枠組みのローカライズ」を開催し、研究組織を代表して、5名の研究者が口頭発表を実施し、本研究の成果公開を実施することを計画している。 つぎに、英文での研究成果出版に向けて、これまでの本研究の研究成果原稿を取りまとめる。出版媒体は、African Studies Monographs, Supplementary Issueを予定している。
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