研究課題/領域番号 |
25257007
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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研究分担者 |
乾 仁志 高野山大学, 文学部, 教授 (30168421)
高田 良宏 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (30251911)
高島 淳 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40202147)
高本 康子 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 地域比較共同研究員 (90431543)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | チベット美術 / 情報プラットフォーム / データベース |
研究実績の概要 |
本研究は、仏教美術を中心としたチベット美術の研究基盤を整備し、視覚芸術を中心としたチベット文化の全体像を明らかにすることを目的とする。 海外調査としては、平成28年8月から9月にかけて、インド、マハーラーシュトラ州において、仏教美術の調査を行った。調査対象はムンバイ市内のチェトラパティ・シヴァージー博物館(旧・プリンス・オブ・ウェールズ博物館)が所蔵するチベット及びネパール仏教に関する美術作品である。これは、インド国内におけるチベット系美術の重要なコレクションのひとつであるが、これまで体系的な調査は行われておらず、その全貌はほとんど知られていなかった。今回の調査では、主要な作品の写真撮影と、名称、時代、素材、法量などの基本的なデータを収集した。また、マハーラーシュトラ州内の主要な石窟寺院についても現地調査を行い、チベットの仏教美術との比較研究のための資料を収集した。 国内の逸見梅栄の写真資料に関しては、鶴見大学図書館に所蔵され、これまで未整理であったガラス乾板資料約200点、および35mmフィルム写真約300点について、内容の照合、被写体の同定を行い、情報のデータベース化をほぼ終えた。その成果は『鶴見大学図書館所蔵逸見梅栄コレクション画像資料7・8』(アジア図像集成研究会)として、平成29年度前半に刊行を予定している。 これらのデータは「アジア図像集成情報プラットフォームAsian Iconographic Resources Information Platform」(http://air-p.jp)において、順次、公開を進めていく。 研究分担者の高本康子は、戦前の満州のチベット仏教に関する資料収集と調査を継続的に実施している。乾仁志はラダック地方の仏教美術に関する調査・研究、高田良宏はデータベースの開発、高島淳はテキスト情報に関する検索システムの開発などを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査、国内調査、共同研究の実施など着実に研究を進め、その成果を、インターネット上での情報プラットフォームで継続的に公開していることをはじめ、刊行物、講演会の開催など、さまざまな形で一般に成果を発表している。とくに、鶴見大学図書館所蔵の逸見梅栄の画像資料については、未発表の写真資料の発見と分析を終え、プラットフォーム上でその大半を提示することができた。研究分担者による研究成果の公表や、研究成果の社会還元も頻繁に行われ、生産性も高い。
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今後の研究の推進方策 |
国内外のチベット美術の研究者にデータ提供を呼びかけ、情報プラットフォームにデータの追加を行い、データベースの規模を拡大させる。そのために、データベースの整備と平行して、検索方法の改良や文字データとのリンクの設定など、システム上の改善を進める。さらに、データ所有者自身がデータの追加、削除、訂正が容易に行えるようなシステムに改良し、恒常的にデータベースの拡充が図られるような環境を整備する。国内外のチベット研究者、美術史研究者などにモニタリングを依頼し、外部からの評価をプロジェクトに反映させる。研究全体のとりまとめと、次年度以降の方針を話し合うため、さまざまな領域の研究者を集めて、人文学における情報リポジトリのありかたを主題とした研究集会を開催し、その成果を発表する。
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