研究課題/領域番号 |
25257008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市川 裕 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20223084)
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研究分担者 |
佐藤 研 立教大学, 文学部, 名誉教授 (00187238)
桑原 久男 天理大学, 文学部, 教授 (00234633)
細田 あや子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (00323949)
高井 啓介 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (00573453)
月本 昭男 上智大学, 神学部, 教授 (10147928)
高橋 英海 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (20349228)
菊地 達也 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (40383385)
長谷川 修一 立教大学, 文学部, 准教授 (70624609)
葛西 康徳 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80114437)
江添 誠 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (80610287)
牧野 久実 鎌倉女子大学, 教育学部, 教授 (90212208)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宗教学 / 一神教 / 古代ローマ帝国 / ラビ・ユダヤ教 / 初期キリスト教 / 国家と宗教 / 法と宗教 / イスラム法 |
研究実績の概要 |
研究2年目に当たり、事務局体制が軌道に乗り始めたことで、研究全体の見通しが容易になったことは、第1の実績であった。各研究分担者・協力者は個別の課題を遂行するとともに、事務局において、本年度に主として3つの全体プロジェクトを計画した。第1に、年内に各研究班ごとに、1回ずつ研究会合を開催すること、第2に、秋の日本宗教学会において、個別発表を行うとともに、研究班Aグループによるパネル発表をおこなうこと、そして第3に年度末に国際シンポジウムを計画したこと、以上の3点であった。 第1の研究会合については、発表準備のできている人を中心に、研究班Aを6月に、研究班Cを7月に、そして研究班Bを夏の発掘調査後の10月にそれぞれ開催することができた。具体的成果としては、研究班Bのうち、宗教規範の日常生活への強化という主題において、次年度の国際学会IAHRでの発表が可能な成果が得られたこと、また研究班Cでは、イスラム法が域内のキリスト教共同体の法規範として受容されるという視点が実証された点が重要である。 第2課題においては、秋の日本宗教学会学術大会(於同志社大学)において、研究班Aを中心に5名によるパネル発表「ローマ帝国における諸民族と宗教」を実施し、一神教の登場によって古代ローマ社会の国家の枠組みがどういう影響を被ったかという主題に対して、研究成果を発表した。こうした共同研究は今回が初めてだったが、次のステップへの最初の試みとしての意義があった。 第3課題は、そのパネル発表を一部引き継いだ形で、翌年度開催の国際宗教史学会IAHRでのパネル参加を視野に、一名の外国人研究協力者を交えた4名の構成で発表を準備し、年度末の3月にシンポジウムとして開催した。全体テーマはIAHRでの発表と同じ主題「ローマ帝国下における宗教意識の変化:動物供犠とその代替物」として、使用言語は英語・ドイツ語・日本語であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事務局体制が整い、年度初めから全体計画を定め、ほぼその計画通りに研究を遂行できた。そうした制度的形式的な面のみならず、内容的にも十分な成果を上げることができた。 内容面においては、研究実績の概要で指摘したように、個別研究の成果とパネルによる共同研究の成果がともに得られたことが挙げられる。研究の2年目でまだ成果が得にくいにもかかわらず国際シンポジウムを実施することにはためらいもあったが、翌年の国際宗教史学会IAHRへのパネル参加という目標があったことで、秋の日本宗教学会で下準備をして、それを元に年度末に英語を基調として外国人研究者を交えたシンポジウムを実施できた。 なお、研究代表者が夏に予定していた海外調査が現地の不穏な政治情勢のため翌年に繰り越されしたが、次年度には予定通り実施して、その成果をIAHRの発表に反映させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
事務局体制に立脚した体系的研究を推進する点は昨年度と同様であるが、特に以下の点に留意する。 第1に、研究班ごとの年1回ずつの会合開催は、日程調整が困難である点を考慮して臨機応変に行う。 第2に、年度末の国際シンポジウムに備えて、早くからテーマと招聘研究者について議論を進めておく。 第3に、本研究は宗教学を基礎にしているが、ユダヤ教とイスラム教は宗教が管轄する領域がキリスト教社会とは一致しないため、宗教だけの比較では抜け落ちる事象があることに鑑みて、宗教を含む社会全体を視野に入れた全体的比較を留意しつつ研究を行う点を自覚することであり、事務局での議論もそうした点に留意して研究計画を企画、実施していきたい。
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