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2013 年度 実績報告書

製鉄の起源と展開に関するフィールドワークに基づいた実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25257011
研究機関愛媛大学

研究代表者

村上 恭通  愛媛大学, 東アジア古代鉄文化研究センター, 教授 (40239504)

研究分担者 新田 栄治  鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00117532)
大村 幸弘  公益財団法人 中近東文化センター, 日本アナトリア考古学研究所, 所長 (10260142)
安間 拓巳  比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (40263644)
槙林 啓介  愛媛大学, 東アジア古代鉄文化研究センター, 准教授 (50403621)
研究期間 (年度) 2013-10-21 – 2017-03-31
キーワード製鉄 / 最古 / 技術伝播 / 技術復元 / 技術比較
研究実績の概要

平成25年度のフィールドワークはトルコ・カマンカレホユック、南シベリア・ハカス共和国、中国四川省蒲江県で実施した。トルコでは、カマンカレホユックの前期青銅器時代(Ⅳ層)における金属生産関連遺物を検出することができた。小鉄塊、鉄滓の小片等が含まれており、鉄滓がらみの鉄塊を付近で調整した可能性が想定されるようになった。
ハカス共和国ではシラ州エフレムキノ遺跡の調査を行った。地表から浅いレベルで製鉄関連遺物を大量に検出できたが、道路工事に伴う攪乱が著しく、製鉄炉そのものは確認できなかった。なおハカス共和国における調査成果は奈良で開催されたBUMAⅧにおいて発表した。本会議ではチェアマンも務めた。
四川省では蒲江県北部、臨渓川流域に製鉄炉が密集することを突き止めていたが、今回の踏査で開墾によりそのほとんどが破壊されていたことを確認した。
なお本研究で南アジアのインド、スリランカを担当する研究協力者、ギリアン・ジュレフ氏(連合王国・エクセター大学)を今年度招聘する予定であったが、ジュレフ氏の本国での本務の都合上、招聘ができなかった。そのため、来年度氏を改めて招聘し、目的を遂行することとした。このほか研究分担者、新田栄治氏からは東南アジアにおける製鉄遺跡研究の動向に関する報告を受け、研究協力者、李映福氏から四川省西部地域において新しい鉄・銅生産遺跡群が発見され、その炉の構造や形状について議論し、今後の調査の可能性を検討した。
なお以前、南シベリアにおいて発掘調査を行ったトロシキノ遺跡の製鉄炉について、その構造を検討し、設計図を作成して、小規模な復元実験を岡山県新見市備中国たたら伝承会の実験場において実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度後半で追加採択となり、一旦解体した研究計画・グループを再構成するところから研究を開始したため、参画者の足並みが揃わないことが多かった。それでもトルコ、カマンカレホユックにおいて、前期青銅器時代層の原位置で鉄関連資料を検出できたことは調査はじまって依頼の快挙となった。今後、こういった形での遺物の検出が必要であると認識できた。同時に世界中の金属学研究者が集うBUMAⅧにおいて、本資料について多くの意見が寄せられ、今後、さらに注目されるであろうことが理解できた。
中国、シベリアの発掘に関しては、以前の踏査で遺存が良好であると確認できた遺跡が、ここ数年の開墾や工事で破壊されていた。本件については、相手国の研究機関や自治体と協議し、今後の調査を約束していたにもかかわらず起こったことであり、今後の調査に向けて反省する必要がある。しかしながら検出できた遺物はそれぞれの地域・時代の製鉄技術を示す重要度の高い遺物であり、今後、周囲の遺跡を調査する際の指標となることは間違いない。
製鉄技術復元という点については、南シベリアの製鉄遺跡について、わが国のたたらの無形文化財である木原明氏らを含めて議論できた。出土鉄滓からその生成過程が理解でき、また炉内反応の状況など仔細に検討できたことは、本研究が世界中の古代製鉄技術の復元に関してかなりの有効性をもっていることを改めて認識することができた。なおこの技術復元についてはBUMAⅧで報告し、多くの賛同を得ることができ、今後、さらに成果の発信をする必要性があることを感じた。
以上のように着手に問題があったものの、重要な成果をあげているため、おおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

製鉄の起源地である西アジア地域についてはカマンカレホユックにおける製鉄関連資料を検出できたことから、自然科学的な分析を進める一方、研究分担者、研究協力者からの関連遺跡における調査状況を踏まえ、起源地における製鉄技術の様相を検討する。本研究を遂行する上で、大きな問題点は中央アジアがミッシングリンクとなっている点である。近年、中国甘粛省において殷代の錬鉄製鉄製品が出土しているが、これが中国で生産された可能性は低く、青銅器の受給関係から見てカザフスタンが故地である可能性が高い。そのためシベリアを含むロシアの研究協力者の情報を得て、カザフスタンの調査研究動向の入手を急務としなければならない。
南シベリアの製鉄に関しては近年モンゴルで発見されたホスティン・ボラグ遺跡の成果と比較する必要がある。これについてモンゴルの研究協力者より報告を求め、南シベリアとの関係について検討した。
中国については、最古期の製鉄技術は西北地域から流入していると考えられるために、今回、四川省西部において発見された製鉄遺跡は重要である。本遺跡の発掘調査について理解を求め、調査に着手したい。また南アジア地域に関しては、引き続きジュレフ氏に担当を依頼し、情報の収集と、ジュレフ氏のチームによるスリランカの発掘調査成果について報告を依頼する。なお研究協力者、新田栄治氏が東南アジアにおける製鉄遺跡の研究動向を整理中であり、その報告を待って南アジアとの比較検討を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センターHP

    • URL

      http://www.ccr.ehime-u.ac.jp/aic/

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公開日: 2016-06-01  

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