| 研究課題/領域番号 |
25257013
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| 研究機関 | 公益財団法人 中近東文化センター |
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研究代表者 |
大村 正子 公益財団法人 中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 研究員 (80370196)
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| 研究分担者 |
大村 幸弘 公益財団法人 中近東文化センター, その他部局等, 所長 (10260142)
松村 公仁 公益財団法人 中近東文化センター, その他部局等, 研究員 (60370194)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 考古学 / アナトリア / ヤッスホユック / 青銅器時代 / 都市国家 / 下の町 |
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| 研究実績の概要 |
前2千年紀にエジプトと対峙しうる勢力となったヒッタイト帝国の成立基盤は、前期青銅器時代後半(前3千年紀後半)のアナトリアに存在した都市国家に遡ることができる。本研究はヤッスホユックの発掘調査を通してアナトリアの都市国家の初期形態を明らかにし、国家形態の変遷の中での歴史的位置づけを行うことを目的とする。
27年度も1)ヤッスホユックの発掘調査、2)出土土器と古代アナトリア青銅器時代の土器との比較研究、3)古代オリエント、古代アナトリアの類似建造物との比較研究を軸とする研究を継続した。この遺跡の発掘調査は本研究の中心的作業であり、前2千年紀末の王宮址発掘がメインテーマである。この王宮址は既に遺丘中央部で発掘されており、さらに発掘区を東西に400㎡拡げたが、25-26年度に上層の後期鉄器時代の遺構調査とその遺構の取り外しを行った後、27年度は中-前期鉄器時代と昨年度確認され始めた第Ⅱ層中期青銅器時代（前2千年紀初頭）を中心とする調査を進めた。中-前期鉄器時代の遺構はカマン・カレホユックⅡc-Ⅱd層、ゴルディオン前期フリュギア時代の層に並行するものであり、象形文字の刻まれた土器片等は後期ヒッタイトと関連づけられる都市の存在する可能性を示している。
25年度以来進めている地中レーダー探査では「下の町」がより広い範囲に存在することが明らかになった。また、遺丘頂上部の第二の高まりでも遺構の存在が確認された。
前期青銅器時代後半もしくは前期青銅器時代から中期青銅器時代への過渡期における土器を、アナトリアの土器編年に明確に位置づけるための出土資料の整理分類及び比較作業を継続して行っている。このほか、遺構の形態、 小遺物の整理・分析等、考古学プロパーのアプローチだけでなく、植物考古学、動物考古学、あるいは炭化物の年輪学及びC14分析等、総合的に年代考証を行うための分類・分析作業を継続している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中心であるヤッスホユックの発掘調査は順調に進んでおり、前期青銅器時代の王宮址の発掘も段階的に進められている。
王宮址の編年学的位置付けを可能にするものとして、遺構の形態、出土土器、小遺物の整理・分析、植物考古学的分析、動物考古学的分析等が進められている。中でも、考古学的アプローチの基礎となる出土土器の分類・分析は、膨大な数の土器及び土器片を対象とし、時間を要する作業で、基礎的データーの集積と分類を進めている段階であるが、その形態分類は形を成し始めている。
「下の町」の存在は、特に前2千年紀初頭の遠隔地交易や域内交易を実証し、当時の都市の体制、組織、機構等を解明する可能性を持つものである。従って、地中レーダー探査による「下の町」の確認は、アナトリアにおける都市国家の初期形態及びその変遷を捉えようとする本研究を大きく進展させるものである。
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| 今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、平成25-27年度の研究方法を継続する形で遂行する。
本研究の基本であるヤッスホユックの発掘調査は、遺丘頂上部における前期青銅器時代末の王宮址の発掘が新たな進展を見せる段階に入っており、本研究期間内に完了する方向で実施すると共に、同時期の市壁の有無を確認する（現在確認されている市壁は第Ⅰ層の鉄器時代の都市のものである）。また、条件が揃えば、「下の町」の発掘も開始したい。
出土土器の研究は小遺物の研究と共に、実測、写真撮影、データーベース作成等を含む基本資料の作成を継続し、特に中央アナトリア、東南アナトリア、シリア等の同時代の土器との比較研究を進める。建築遺構に関しては、近年アナトリアで発掘が開始された同時期の遺跡及び、シリア、メソポタミアの当時の先進地域の建築遺構との比較研究を継続する。
ヤッスホユックにおける発掘調査とその建築遺構、都市の構造、出土土器及び遺物に関する研究を基礎に、アナトリアにおける都市国家の初期形態の解明へ向けて、文献学や周辺研究分野を含むワークショップの開催のための準備を進める。
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