研究課題
最終年度である本年度は、家計調査の結果を、GPSによる位置情報のある合計約2,600世帯にのぼる家計データであるNepal Marginal Settlements Survey 2015: Households:Nepal MSS/H-2015として整備した。これは今後の無作為化比較実験を行うベースライン調査となるものである。すなわち、生活改善の度合いを測る際の(比較群とは別軸の)基準となるもので、より厳しい精度における政策評価を可能にする。さらに、村の中の更に小さな集まりである集落の調査も実施し、首都カトマンズや周辺のマーケットからのアクセシビリティ、意思決定・ガバナンスの構造、そして塩、食料などの日曜品の価格などの情報を収集した(Nepal Marginal Settlements Survey 2016: Village:Nepal MSS/V-2016として整備中)。利他性や互恵性などのコミュニティ内の社会関係資本(社会的選好)を測るためのフィールド経済実験もすでに実施しており、現在データベース(Nepal Marginal Settlements Survey 2017: Social Preference:Nepal MSS/SP-2017)を構築している段階である。また本年3月には、カトマンズのトリブバン大学(Tribhuvan University)において、ベースライン調査データを用いた研究の報告会を実施している。研究結果より幾つかの知見が得られており、本研究テーマと関係の深いものとしては、水汲み時間が1時間増加すると女児の初等教育修了確率が約22%も減少することなどが報告されている。われわれのサンプルにおける女児の初等教育修了率は約70%であり、水供給システムの導入による教育への影響は小さくないことが示唆される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sustainability
巻: 8 ページ: 770
doi:10.3390/su8080770