研究課題/領域番号 |
25257107
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池野 旬 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40293930)
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研究分担者 |
田中 樹 総合地球環境学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10231408)
上田 元 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (10241514)
樋口 浩和 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50303871)
小川 さやか 立命館大学, その他の研究科, 准教授 (40582656)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域経済振興 / 社会経済変容 / 資源保全 / タンザニア / 農村開発 |
研究概要 |
初年度である平成25年度には、5月と12月に研究打ち合わせの会を開催し、調査地選定に関わる意見交換を行った。研究代表者である池野がながらく調査対象地域として北東部タンザニアのキリマンジャロ州ムワンガ県と、研究分担者の上田がながらく調査を続けてきた北東部タンザニアのアルーシャ州アルメル県において、社会経済変容に関する調査を継続すること、また土壌、水利用、植生等に関して自然科学的な調査を開始することが合意された。さらに、上記の2箇所以外に、タンガ州ムヘザ県を新たな調査候補地として、事前調査することも合意された。国内においては、本調査研究課題に密接に関わっている地域経済振興についての文献を輪読する会も大学院生を交えて開催し、日本の地域経済振興の経験や問題点についての知識を深め、タンザニアへの応用の可能性について議論する機会を持った。 海外調査に関しては、研究代表者が8月~9月に予備的調査に出向き、年度末の3月に研究代表者、研究分担者全員で同時期にタンザニアに出かけた。タンザニアで学術調査するためには、中央政府からの調査許可が不可欠であり、また在留許可の取得も要請されている。さらに、中央政府からの調査許可を持参して、地方行政を担う州政府、県政府ならびに下位行政機関での調査の承認を必要としている。3月の出張時に新規の調査許可を取得でき、また在留許可については取得の見通しが立ち、調査対象予定の3州の州政府および県政府で調査の承認を取り付けられた。3月の出張時には、本調査研究の関係者全員が上記の調査予定地を訪問して、調査研究に関する具体的な検討課題をどのように設定しうるかについて、現地において意見交換することができたことも、大きな成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に、懸念していたタンザニア中央政府からの調査許可の取得に成功し、あわせて調査対象予定地のすべての地方行政組織から調査の承認を取り付けられたことは、非常に大きな成果である。この結果、本年度は早めに海外調査に赴け、現地での諸手続きで貴重な時間を消費することなく、具体的な村落、地方中小都市を調査地に選定し、それらで早々に調査に着手ができる。 第2に、タンザニアの現地において、研究代表者、研究分担者が一同に会して意見交換を行い、一定の共通認識を持ち得たことは、今後の研究遂行上大きな意義があった。調査対象と考えている3州の3県について共通認識となったのは、1)いずれの県も降水量が多く冷涼な山岳部と天候の変動に脆弱な乾燥した平地部に2分できる農業生態環境下にあること、2)コーヒー等の換金作物栽培で県経済を牽引してきた山岳部の農業が伸び悩むなかで平地部にある県庁所在地等の地方中小都市が人口を集め、消費経済の中心的な位置を占めつつあること、3)上記のような共通する特徴を持ちながらも、3県の様相は微妙に異なっており、それは大都市への近接性、舗装道路等の交通インフラの整備状況、地形や土壌のような自然環境の差異によってもたらされていると考えられること、である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、ほぼ順調に研究を遂行しえた。そのため、2年目にあたる本年度以降も、予算の枠内で、できうるかぎり研究計画書に沿って研究を遂行していく予定である。 本年度については、まず3州3県において具体的な調査対象地を決定し、聞き取り調査等の作業を開始したい。研究代表者と研究分担者とが抱いている共通認識は、昨年度の短期の滞在に基づく断片的な印象にすぎず、文理双方からの定量的ならびに定性的な検証が必要である。資源保全と地域経済活性化の促進要因と阻害要因について、地域間比較の視点を加味して検証していくことが、本年度の主たる調査研究課題となる。キリマンジャロ州とアルーシャ州の調査地については、池野・上田の両名がすでにかなりの社会経済的な情報収集を行っており、その情報量の増大をめざすとともに、両州の調査予定地に昨年度末に設置した簡易式気象観測装置のデータの回収と解析を行うことも予定している。一方、新規に調査地を設定しようとしているタンガ州ムヘザ県については、本年度に調査地を確定し、基礎的な社会経済生態環境調査に取り組みたい。聞き取り調査や参与観察に加えて、簡易式気象観測装置を設置してキリマンジャロ州等の調査地と比較しうる気象データの収集にも努めたい。
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