研究課題
これまでにCALETの構造・熱モデルやフライト品同等の読み出し回路などを使用して実施してきたCERN-SPSでの加速器実験で取得したデータの解析を重点的に行った。電子・陽子ビーム照射で得られたデータについては、実験データとシミュレーションデータを比較して整合性を検証した。その結果、エネルギー測定については実験での温度測定の精度を考慮するとエネルギー測定が実験とシミュレーションで整合することが確認できた。また、シミュレーションのパラメータの一つであり、シャワー発達に効くPWOシンチレータの密度についてもHeガス置換による体積測定を実施して、その影響を評価した。その他、実験を再現するためのシミュレーションコードの改良も行った。重粒子ビーム照射で得られたデータについては、電荷識別性能、エネルギー測定性能、エネルギー分解能などを検証し、ハドロン相互作用モデルの検討を行った。加速器実験に使用した構造・熱モデルのTASC(PWOによる全吸収型カロリメータ)もCALET実機の較正に用いた紫外線レーザーシステムによってシャワーエネルギーの較正を行った。核種ごとのシャワーエネルギーの直線性やエネルギー分解能について実験とシミュレーションは非常に良い一致を示すことを確認できた。また、シミュレーションについては各種の相互作用モデルで確認を行ったが、モデルによる有意な差は見られなかった。成果発表の機会の一つであった国際学会COSPARは、開催予定地トルコの情勢が危険な状態であったために参加を見合わせ、予定していた海外出張旅費をシミュレーションパワーの増強に充てるために高速の計算機(計56コア)を導入した。また、解析パワーを増強するために、博士研究員を公募したが適任者の応募が無かったため、派遣スタッフを雇用してデータ解析やシミュレーションに使う計算機のセットアップや維持管理を行ってもらった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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