研究課題
本研究課題では、超高圧変成岩を用いて地下深部流体活動の履歴を読み取り、深部流体活動が超高圧変成岩の上昇過程に果たした役割の解明を目指した。今年度は、温かい超高圧変成帯であるチェコ・ボヘミア山塊において超高圧エクロジャイトを胚胎する高圧グラニュライトの形成履歴の解析を行った。その結果、高圧グラニュライトは中温条件下で最高圧力を経験した後、圧力低下時に最高温度を記録するという、これまで当該地域で知られていない形成履歴を提案した(Usuki et aal., 2017).当該地域においては、既に超高圧エクロジャイトが減圧時に部分溶融することを見出しており(Miyazaki et al., 2016)、当該地域の地下では、100km以深で形成された超高圧変成岩類と地下30-60kmで形成された高圧グラニュライトの混合過程を考える上で、新たな制約条件を与た。冷たい超高圧変成帯であるキルギスMakbal岩体のザクロ石泥質変成岩中の流体包有物を素材にして、クライオFibとEDX検出器を組み合わせて、流体包有物の主要元素をIn situで測定する新技術を開発した(Yoshida et al., 2018)。その結果、流体包有物にはNa、Ca, Cl以外にKが含まれていることを世界に先駆けて明らかにし,天然の流体包有物は想像以上の多元素系であること実証した。中国の蘇魯超高圧変成帯の研究では、超高圧時にCa-Na角閃石が安定であることを示し、超高圧時にもH2O主体の流体が存在していた事を明らかにした(Yamazaki et al., 印刷中)。超高圧変成帯の低変成度アナログとしてローソン石青色片岩地帯を研究し、沈み込みの初期に形成された中温中圧型変成岩が、後期に沈み込んだより低温型変成岩中に取り込まれている例を三波川変成帯で初めて見出した(Kato & HIrajima, 2017)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 9件)
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