研究課題/領域番号 |
25257302
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (60217552)
|
研究分担者 |
松山 明人 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, その他 (00393463)
井村 隆介 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40284864)
内海 俊樹 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (20193881)
児玉谷 仁 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (30434468)
河野 百合子 鹿児島大学, その他部局等, 助教 (60582070)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 水銀 / 金精錬活動 / 環境影響 / 国際研究者交流 / インドネシア |
研究概要 |
25年度は11月から12月にかけて、中央カリマンタン州、3月に西ジャワ州における金精錬地域の調査を実施した。中央カリマンタンでは、カハヤン川沿岸で金精錬活動が行われており、その上流から下流にかけて、河川水、大気、土壌を中心とし水銀濃度の測定を行った。上流のバックグラウンド地域として設定した調査点から下流に向けて調査を行った。大雨により川が増水して道路が水没するというアクシデントにより、金精錬が行われている地域に入ることが出来なかったが、上流部で柱状に採取した土壌では表層の水銀濃度が最も高くなっており、ここでも大気輸送による水銀の拡散沈降が起こっている事が示唆された。また、上流部および下流部における雨季のカハヤン川中水銀濃度の情報を得た。西ジャワ州での調査は、3月に、金精錬活動の行われている地域と、その上流部において実施した。大気、降水、河川水、土壌試料などに加えて、植物および底生生物などの採取を行った。計画していた水銀の拡散に伴う情報を得るために設定した全ての地点での試料採取を行う事ができた。これらについては、現在測定を進めているところであるが、環境中で生成されたメチル水銀が生態系へ濃縮されている状況を示す結果が得られつつある。また、土壌試料におけるメチル水銀生成実験において、メチル水銀濃度の変動とそれに伴う細菌叢の変化についての予備検討を開始し、メタゲノム解析を実施した。現在解析結果の解釈を進めている。分析方法の信頼性評価に関して、試料の前処理方法の検討をふまえた上で、海外研究協力者とも連携してクロスチェックを行い、その成果の一部を国際水銀学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インドネシアでの調査は、乾季と雨季に実施する予定だったが、カウンターパートとの調整により、雨季に2回調査を実施したが、中央カリマンタン州と西ジャワ州という異なる2地点における調査を実施することができた。また、室内実験においてメチル水銀濃度が一定の期間内に変動する事が確認でき、それに対応した細菌叢追跡の試みを実施できた。試料の前処理法と分析方法のクロスチェックに関しても海外研究協力者とも連絡をとりあい、信頼性評価の検討を行った成果の一部を国際学会で発表した。以上の様に当初の研究計画に沿った形で研究を遂行することが出来ていることから、おおむね順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に調査により得られた試料の分析を進める。さらに、今年度は、スロベニアでの調査を6月に、インドネシアでの調査を8月に予定している。スロベニアでは、水銀鉱山周辺の環境試料の採取、測定を行い、インドネシアで確認されたメチル水銀濃度と有機物含有量などとの関係性についても詳細な比較を行う。河川底質と河川水を持ち帰り、実験室におけるメチル水銀濃度変動の追跡実験を実施する。インドネシア試料でも継続的なモニタリングを行い生態系への影響を追跡する。
|