研究課題
サブテーマ1(タワー観測)では、インドネシアとマレーシアに分布する熱帯泥炭林の自然林、二次林およびオイルパーム園について、タワー観測サイトのデータを継続して収集した。得られたデータについて、炭素収支や気候、土地利用、環境攪乱(排水、火災など)の影響について解析を進めている。サブテーマ2(泥炭分解)では、インドネシア・中央カリマンタン州パランカラヤにある3つの植生区、すなわち、ほぼ未排水の自然林(UF)、排水された森林(DF)、排水後に焼失した後の再生林(DB)にトレンチングを施した「根切区」を平成25年9月に設置した。チャンバー法を用いた微生物呼吸(泥炭の好気的分解にともなうCO2発生に相当)の測定を開始し、毎月1回頻度で継続測定した。また同様に、マレーシア・サラワク州にあるオイルパーム園にも「根切区」と未処理の「対照区」を平成26年5月に設置した。合計16台のチャンバーを用いた自動開閉計測システムにより、微生物呼吸と土壌呼吸(微生物呼吸+根呼吸)による泥炭からのCO2放出速度の連続観測を開始した。サブテーマ3(炭素循環)では、パランカラヤのUF, DF, DBの3植生区それぞれに固定プロットを平成25年9月に設置し、プロット内にある立木について悉皆直径調査を行った。また各サイトにリタートラップを設置し、各月で変化する落枝落葉量を平成25年11月から継続調査している。サブテーマ4(生態系モデル)では、フィールドデータを用いて熱帯泥炭生態系サブモデルのパラメタライズを行った。
2: おおむね順調に進展している
ST1では、インドネシアの中部カリマンタンおよびマレーシアのサラワクでの観測を継続しながら、インドネシアおよびマレーシアにある観測タワーのネットワーク体制の整備およびデータの解析に取り組んでいる。ST2では観測システムの作成および観測プロットを設営を進め、現地観測を開始させてデータの収集と解析に取り組んでいる。ST3は林文調査の固定プロットおよびリタープロットを設置し、現地調査が開始してデータの収集と解析を進めている。ST4は熱帯泥炭生態系サブモデルの作成を開始できている。以上の通り、いずれのサブテーマも当初の計画に沿って活動を進められており、おおむね順調に進行している。
当初の計画どおり、現地観測・調査を継続していく。ST1ではネットワーク体制の充実を進めるとともに、統合解析に向けた検討を行う。ST2ではマレーシアのサラワクにおいて、一部、オイルパーム園からの泥炭分解について測定を開始しているが、自然林や二次林における同様の測定を開始するために観測システムの作成と設置を行う。ST3では1年間が経過した後の直径調査を行い、年間成長量を求めるデータを集める。またバイオマス量の相対性長則を確立する目的で、地上部の伐倒調査および地下部にある根の掘り取り調査を行う。ST4では,フィールドデータを用いて熱帯泥炭サブモデルの検証を行う。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
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