研究課題/領域番号 |
25257403
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
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研究分担者 |
高橋 真 愛媛大学, 農学部, 准教授 (30370266)
磯部 友彦 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (50391066)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境分析 / POPs候補物質 / アジア途上地域 / 国際貢献 / 汚染モニタリング |
研究概要 |
本研究では、新規POPsおよびPOPs代替物質の環境汚染源・不適切管理地域として懸念されるアジア途上国を対象に、その汚染実態と経年変動に関する基礎データを集積・解析し、環境改善や対策技術構築のための科学的根拠を提示することを目的とする。平成25年度は当初計画に基づいて、1) アジア途上地域を主な調査対象地域とした現地調査、2) POPs代替物質の分析法開発、3) 汚染の地理的分布の解明、を試みた。まず、8月にガーナ、9月にインド、1月にベトナムでそれぞれ現地調査を実施した。廃棄物投棄場やe-waste処理施設を主な調査場所として、現地共同研究者の協力を得て土壌・大気・魚介類等の環境・生物試料や、母乳・食品・室内ダスト等を収集した。次に、本研究グループで既に開発・運用されているPOPsおよび臭素系難燃剤の分析法を改良し、代替ハロゲン化難燃剤(BTBPE、DBDPE、DP)の同時分析法を確立した。イガイを用いたモニタリングの結果、代替ハロゲン化難燃剤のBTBPE・DBDPEは日本・韓国等の工業国で検出されたものの、アジア地域における汚染の拡大は認められなかった。一方、日本国内で使用実績のないDP(デクロランプラス)が検出され、この物質による汚染の時空間分布や生物濃縮性等の詳細なモニタリングが必要と考えられた。さらに、LC-MS/MSを用いてリン酸エステル系難燃剤(PFRs)およびベンゾトリアゾール系UV吸収剤(BUVSs)の分析法を確立し、魚介類・ハウスダスト・母乳の分析に適用した。分析精度については、国際相互検定を実施して確認した。その結果、一部のPFRs・BUVSsは食物網を介した生物濃縮性を示すことが明らかとなり、魚介類の摂取を介したヒトの暴露が懸念された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ほぼ計画通りインド・ガーナ・ベトナムで現地調査を実施し、今後の分析・解析に必要な土壌・大気・魚介類・母乳・食品・室内ダスト試料を収集することができた。また、生体試料のPFRsおよびBUVSs分析法も確立することができ、母乳など一部の試料については既に分析に取り組み、モニタリングを展開している。さらに、廃棄物処分場周辺で採取したハウスダスト試料のPOPsやBFRsについても化学分析が進行しているため、今後POPs候補物質を分析することで汚染の特徴や相違などについて明らかにできると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1 現地調査(田辺・高橋・磯部):ベトナム・インドネシア・インドで現地調査を実施する。選定する調査対象地域は前年度同様であるが、ヒトの暴露量評価のためハウスダスト・室内空気等の環境試料や魚介類等の生物試料を採取し、同時に母乳や血液等の調査も実施する。 2 POPs代替物質の分析法開発(磯部):25年度までに魚介類・ハウスダスト・母乳のPFRs・BUVSs分析法を開発し、相互検定による精度確認も実施したことから、引き続きこの方法を用いて生物・堆積物試料を分析する。 3 汚染の地理的分布と汚染源の解明(田辺・高橋):研究対象とする海域を拡大するとともに、カツオなどの回遊魚を対象としたモニタリングを実施する。また、ヒトのPOPs代替物質暴露を検証するため、母乳・食品・室内ダストも分析する。さらに、ベトナム、インドネシアなどの廃棄物投棄場やリサイクル処理施設の廃棄物および土壌のPOPs代替物質を測定し、汚染源の特徴を解析する。
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