今後の研究の推進方策 |
引き続きアジア途上国研究者との共同研究を通して、現地ミーティングおよび調査を実施し、新規POPsおよびPOPs代替物質の環境動態、生物蓄積性、リスク評価、そして経年変化に関するデータ集積・解析を進める。とくに、BFRsの代替物質として使用量の増大が予想されているPFRsについて、様々な環境・生物試料に適用可能な分析法を構築し、環境汚染やヒト曝露の実態を解明する。 1.現地調査(田辺・国末・高橋・磯部):一昨年および昨年度に実施したベトナムとインドの現地調査で得られた結果を基に、研究を深化させるため新たな調査を実施する。 2.POPs(BFRs)代替物質の分析法開発(田辺・国末):リン酸エステル系難燃剤(PFRs)であるtritolyl phosphate (o-, m-, p-tricresyl phosphate) (TCP), triethyl phosphate (TEP), tris(2-ethylhexyl) phosphate (TEHP), tris(2-butoxyethyl) phosphate (TBEP), triphenyl phosphate (TPhP), tri-n-butyl phosphate (TnBP), tripropyl phosphate (TPrP), 2-ethylhexyl diphenyl phosphate (EHDPP), tripentyl phosphate (TPeP)について、水圏生態系適用型の分析法を構築する。 3.時空間トレンドの解析とヒト曝露の評価(田辺・国末・高橋):E-wasteリサイクル施設や廃棄物投棄場で収集した試料を化学分析し、作業者に対するBFRsおよびPFRsの曝露実態と起源の解明、そしてリスクの評価をおこなう。また、水域への流入の実態を評価するため、湖沼や河川で採取した環境試料と水生生物も分析し、これら物質の挙動と蓄積性を解明する。さらに、アジア沿岸で死亡漂着した小型鯨類の組織試料がes-BANKに経年的に保存されているため、これらの試料を用いて新規POPsおよびPOPs代替物質の濃縮性と経年的な濃度レベルの変化を解析する。
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