研究課題
これまでの研究成果に関するミーティングをインドとベトナムで実施し、今後の共同研究の可能性についても議論した。合わせてe-waste処理施設からの汚染物質による拡散を調査する目的で、大気や周辺土壌の収集をおこなった。昨年度に実施したベトナムのe-waste調査から、PBDEsなどの臭素系難燃剤だけでなく、ダイオキシン類様物質による汚染も顕在化していることが示唆された。そこで本年度は、e-wasteリサイクリング処理施設の中でも、その不適切処理にともなう環境汚染が国際的に最も問題視されているガーナのアクラ市に存在するAgbogbloshie処理場の調査を実施した。処理場内の土壌を化学分析した結果、塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs)だけでなく、臭素化ダイオキシン類(PBDD/Fs)がきわめて高濃度で検出された。PCDD/Fsは野焼きが活発な区域で最高濃度を示した一方で、PBDD/Fs濃度は分解・解体区域でも高く、とくにPBDFsが卓越していた。PBDFsは、PBDEsの熱分解や自然光曝露により生成することが報告されていることから、同一試料におけるPBDEsを分析した結果、PBDFs同様に分解・解体区域で高濃度を示し、PBDFsとPBDEs濃度には有意な正の相関関係が認められた。これらの結果から、PBDFsの生成にPBDEsが前駆物質として関与していることが強く示唆された。これまでの研究で、アジア諸国はPBDEsやHBCDsなど新規POPsの環境放出源となっていることが示されたことから、海洋への影響を評価するため、es-BANKに経年的に保存されていた外洋性鯨種であるイシイルカの組織試料を分析し、経年変化を解析した。その結果、PBDEs、とくにHBCDsの蓄積レベルは明らかな上昇傾向を示したことから、これらBFRsが沖合へ移動拡散しており、その汚染は長期化することが推察された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件)
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