研究課題/領域番号 |
25257405
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
若月 利之 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (50127156)
|
研究分担者 |
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (10325045)
佐藤 邦明 島根大学, 生物資源科学部, 助教 (60533289)
増田 美砂 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70192747)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | アフリカの緑の革命 / Sawah technology / 農民の自力水田開発技術 / アフリカ水田農法 / アフリカ氾濫原農法 / 科学技術の前提としての水田仮説1 / 集約的持続性を担保する水田仮説2 / 内陸大湿地とデルタの持続可能な開発 |
研究実績の概要 |
アフリカ特有の湿地のうち、当初は内陸小低地をターゲットとして研究開発されたSawah technologyは「谷地田農法」としてガーナ、ナイジェリアに加え、国際機関のアフリカ稲センターAfricaRiceによりトーゴ、ベナン、タンザニア等で普及が進行している。一方、ナイジェリアKebbi州の「日本の弥生期の小区画水田に類似の準水田」をSawah Technologyにより、農民の自力で「標準型の水田に整備し進化」させることに成功し、収量が2-3t/haから6-7t/haに倍増した。これにより大規模氾濫原や内陸デルタの非氾濫期に10m以浅の地下水を管井戸の簡易ポンプと組み合わせて利用する「アフリカ水田農法」に進化した。今年度はKebbi州の1000台の耕耘機による1万ha規模の水田進化と整備のための訓練をKebbi州のArugunguにて実施するとともに、Niger州の1000ha規模のEdozhigi灌漑準水田を進化させ整備するための拠点となる8haのモデル水田をアフリカ水田農法により周辺の農民の訓練も兼ねながら整備した。又、チャドのスーダン国境と中央アフリカ国境のTissiとHaraze地域において1000名規模の移住難民の定住化に資するために、国際移住機関(IOM)と連携して、アフリカ水田農法による灌漑水田開発と水田稲作の訓練とデモンストレーションを行った。これによりマリの内陸デルタとチャド湖からスッド湿地にかけての内陸サバンナ地域は1000万ha以上の灌漑水田稲作がSawah Technologyにより実施可能なことが明らかになりつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
サブサハラアフリカのNo.1からエジプトも含むアフリカNo.1の米生産国となったナイジェリアのNo.1の稲生産州となったKebbi州の増産にSawah Technologyが寄与した。又、AfricaRiceも内陸小低地の稲作振興にSawah Technologyの推進と改良を進めている。以上の本科研の目的の達成に加えて、当初予想していなかった、マリの内陸デルタとチャド湖からスッド湿地にかけての内陸サバンナ地域は1000万ha以上の灌漑水田稲作ポテンシャルがあり、アフリカ水田農法により現地農民の自力による持続可能な開発が実施可能なことが明らかになりつつある。サハラ砂漠の南縁にあり多数の難民の発生等の社会不安と農業危機が集中して現れているこの地域の安定化や平和構築にSawah Technologyが大きな役割を果たせる新たな展望を開いた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度であるので、補助的な現地調査を実施するが、Sawah Technologyをアフリカの様々な湿地、即ち、内陸小低地、氾濫原、内陸大湿地やデルタ等を含めて、農民の自力と内発的発展のためのアフリカ水田農法として総括して日本語「アフリカ水田農法Sawah Technologyによる持続可能な稲作革命の実現、そして土と水の保全と平和構築(仮題)」と英文「Sawah Technology for Africa Rice Revolution; Background, Sawah Evolution, Principle and Practices(仮題)」を完成させる。原稿段階のものは、和文・英文ともに本科研のホームページにすでにアップロードして過去3年更新を続けている。この最終版をまず電子版として世界中のどこからでもダウンロードできるようにするとともに書籍としても出版する。
|