研究課題/領域番号 |
25257407
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
湯本 貴和 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70192804)
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研究分担者 |
古市 剛史 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20212194)
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
山極 壽一 京都大学, その他部局等, 教授 (60166600)
幸島 司郎 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60183802)
北村 俊平 石川県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60549674)
兵藤 不二夫 岡山大学, その他部局等, 准教授 (70435535)
黒川 紘子 国立研究開発法人 森林総合研究所, その他部局等, 研究員 (70515733)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱帯林 / 大型類人猿 / 空洞化 / 土地利用 / 食物選択 / 機能形質 |
研究実績の概要 |
本研究は、大型類人猿の存在を空洞化していない森林のメルクマークとして、アフリカ3カ所(ボノボの生息するコンゴ民主共和国ワンバ、チンパンジーの生息するウガンダ共和国カリンズ、ゴリラの生息するガボン共和国モカラバ)、アジア1カ所(オランウータンの生息するマレーシア連邦共和国ダナンバレー)の長期観察体制の確立している研究拠点において、類人猿やその他の霊長類の採餌行動と遊動行動のデータを持続して蓄積し、そのデータセットを森林のフェノロジーと主要樹種の葉や果実の機能形質を関連づけることによって、類人猿やその他の霊長類の採餌戦略や遊動戦略を明らかにすることを目的としている。コンゴ民主共和国のボノボでは、従来利用可能性が低いとされていた湿地林を頻繁に利用することが判明し、この土地利用パタンは湿地林に特有の食物資源の季節変動と関係があることを示唆するとした論文を出版し、この論文を基にして霊長類全般の湿地利用に関する英文書籍の1章として執筆中である。ゴリラやチンパンジーについても、土地利用と採餌行動データを蓄積しており、森林のフェノロジーと主要樹種の葉や果実の機能形質を合わせて、いくつかの学会発表を行っている。特にウガンダ共和国のカリンズのチンパンジーにおいて、複数の道具を組み合わせて使うことを報告し、またチンパンジーでもTreculia africanaという巨大な果実を分配することを報告した。Treculia africanaの分配は、ガボン共和国モカラバのゴリラでも観察されており、複数の類人猿種での確認となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンゴ民主共和国ワンバ、ウガンダ共和国カリンズ、ガボン共和国モカラバ、マレーシア連邦共和国ダナンバレーのいずれにおいても、類人猿やその他の霊長類の採餌行動と遊動行動のデータを順調に蓄積するとともに、森林のフェノロジーや主要樹種の葉や果実の機能形質の計測を続けている。ただ、ダナンバレーにおいては外務省の渡航情報に従って、葉や果実の機能形質の計測チームが入れなかったために遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
オランウータンのサイトとして、ダナンバレーと同様に類人猿やその他の霊長類の採餌行動と遊動行動のデータが蓄積されているキナバタンガン(外務省の渡航情報で危険度が低い)にシフトして、葉や果実の機能形質の計測チームを入れる予定である。
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