研究課題/領域番号 |
25257408
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中務 眞人 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00227828)
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研究分担者 |
仲谷 英夫 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (20180424)
鍔本 武久 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (20522139)
実吉 玄貴 岡山理科大学, 地球環境科学部, 講師 (50522140)
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90303809)
國松 豊 龍谷大学, 経営学部, 教授 (80243111)
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324605)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 古人類学 / 中新世 / 東アフリカ / 化石 / 霊長類 |
研究実績の概要 |
ヒトと現生アフリカ類人猿2属(ゴリラ属、チンパンジー属)の最後の共通祖先像、そしてこれらの系統が分岐を起こした背景を化石資料と他の堆積物などの発掘資料に基づいて解明する。そのために、後期中新世大型類人猿ナカリピテクスを含む、多様な霊長類が発見されているナカリ層(1000万年前)の発掘・地質調査を行った。 26年度の主要な活動とその成果は次の通りである。年度初頭にケニア国立博物館より、研究協力者である古人類学部長を日本へ招へいし、共同で論文作成を行った。7月にサザンメソジスト大学の研究協力者ををナイロビに招へいし、ナカリで収集後、クリーニング作業を行っていた植物化石の同定を行ってもらった。8月と9月に現地発掘調査を行い、7箇所の新サイトを発見し、110点あまりの脊椎動物化石を収集した。地質調査はこれまで十分な調査が行われていない、北方地域を重点的に行った。ケニア国立博物館における化石分析としては、齧歯類の頬歯の比較による系統分類学と生態学的研究 、サイ科の系統分類学的研究、長鼻類の系統分類学的研究、ウマ科ヒッパリオンの古食性と系統分類学的研究、カバ科の系統分類学的研究、新種原猿類の記載、オナガザル科マイクロコロブス四肢骨の機能分析、化石類人猿の手根関節の機能分析がある。これらの成果は、3編の論文として発表し、現在2編が投稿中である。また、アメリカ形質人類学会、マンモス関連国際学会、日本地質学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査により、脊椎動物化石資料は着実に増加している。大型類人猿ナカリピテクスの追加資料は得られていないものの、有望な化石サイトを発見し、発掘を進めている。植物化石の同定は終了した。ケニア国立博物館における脊椎動物化石の同定と整理作業も着実に進行している。ナカリ層で最も資料数が多いげっ歯類の同定はほぼ終了し、現在は咬耗様式など古食性の分析が始まった。霊長類については、原猿2種を新たに確認し、その記載と古環境推定との関連についての論文を投稿した。マイクロコロブスの肘関節についての機能解剖学的論文を投稿した。霊長類以外では、サイ科、カバ科の論文が受理されるなど、順調に研究発表が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで同様、ナカリでの発掘、ケニア国立博物館での資料分析という基本方針を維持するが、新しい試み、研究体制も取り入れる。ヒト・現生アフリカ類人猿系統の起源をユーラシアに求める意見があるように、アフリカとユーラシアの間では、中期・後期中新世、動物相の交換が起こっている。この観点から、ユーラシア動物相とナカリの動物相の比較もすすめる。そのため、トルコでも試験的に発掘を行い、アンカラ大学から研究協力者を招へいする。オナガザル科の四肢骨の機能分析については、この分野で優れた研究業績をもつエリザベス・シュトラッサー教授を研究協力者に加え、共同で分析を行う。。
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