研究課題
Anaplasma marginaleの感染によって引き起こされるウシのアナプラズマ病は法定伝染病に指定され、世界中でも最も罹患率が高いダニ媒介性疾患である。A. marginale赤血球に感染するリケッチアで、急性期に重度の貧血を引き起こし感染牛の30%を死に至らしめるが詳細な病態発生機序は明らかにされていない。そこで米国ワシントン州立大学で感染実験を行い本病の病態解析を行った。ウシにA. marginale外膜蛋白を免疫してT細胞応答を誘導した後、同菌株を接種した結果、CD4+PD-1+LAG-3+ 疲弊化T細胞の割合が感染後に増加し、感染後5週目でピークに達した。その後抗原特異的T細胞応答は感染後5週以降著しく減弱し、菌血症と貧血を呈した。一方で、抗PD-ligand 1 (PD-L1) およびLAG-3に対する阻害抗体により疲弊化したCD4+ T細胞応答が再活性化された。このことからアナプラズマ病の発症機序には抗原特異的T細胞の疲弊化が関与していることが明らかとなった。法定伝染病に指定されるウシの東海岸熱は、感染ダニが媒介するTheileria parva原虫によって引き起こされる感染症である。感受性牛の致死率は70~100%にも至り、アフリカ東部を中心とした発生国では深刻な被害をもたらしているが病態発生機序は明らかではない。ザンビア大学で行った感染実験より免疫チェックポイント因子が感染牛の原虫量ならびに臨床症状の深刻度と相関を示した。そこで英国ロスリン研究所で行った実験感染牛から持続感染細胞を樹立し、感染細胞上の免疫チェックポイント因子の発現解析を行った。その結果、T. parva感染リンパ球上においてPD-1ならびにPD-L1が抗発現し、autocrineまたはparacrine的に原虫感染細胞の排除を抑制していることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS One
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