研究課題/領域番号 |
25257505
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
青山 温子 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40184056)
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研究分担者 |
江 啓発 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (20713887)
八谷 寛 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30324437)
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
松山 章子 長崎大学, 国際健康開発研究科, 教授 (70404233)
三田 貴 大阪大学, 未来戦略機構, 特任講師 (00456956)
本庄 かおり 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (60448032)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 危険因子 / 低所得層 / バングラデシュ / パラオ / 外国人労働者 / 疫学調査 / 質的調査 |
研究実績の概要 |
パラオにおいては、当初の計画では外国人労働者を対象とする疫学調査を実施する予定であったが、人口の2割を占めるフィリピン人はすでに最近の全国調査に含まれていたため、そのデータを活用とすることにした。バングラデシュ人は、個人に雇用されていることが多く居住地も散在していて、予想以上に掌握が困難であった。そのため、今年度は所在の確認をしながら質的調査を実施し、次年度に疫学調査をすることにした。都市部、および村落部において、キーインフォーマントインタビューとフォーカスグループディスカッションを行い、ベンガル語の録音記録を文書化し、逐語的に英語に翻訳し、質的解析を始めた。 バングラデシュにおいては、対象地区の住民や保健専門職等、12人を対象として、キーインフォーマントインタビューを行った。調査に先立ち、調査員の研修のため、質的研究方法に関するワークショップを開催した。ベンガル語の録音記録を文書化した後、逐語的に英語に翻訳し、質的解析をすすめている。また、調査対象地区の住民登録がないため、世帯数、世帯構成員の年齢、性別、既往歴、所得水準の指標となる事項 (建物、台所、トイレ等)、安全な水へのアクセス等について、世帯調査を実施した。各世帯を調査員が訪問して、世帯の代表者から聞き取り調査をした。その結果、同地区の人口は、男性17,041人、女性17,129人、計34,170人であり、低所得層および低位中所得層の住民が居住していることがわかった。現在、ベースライン調査結果を横断分析して、プロフィール論文を作成中である。次年度の疫学調査の方法については、現地共同研究者と協議し、ナショナル心臓財団病院で健診を行い、血液試料は臨床検査室の機器を使って測定することになった。また、貧困層労働者の空腹時血糖を測定することがきわめて困難なため、随時血糖を測定しHbA1c値とあわせて評価することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地の状況等に対応して、交付申請時の計画を一部変更したが、変更した計画内容については概ね完了した。パラオにおいて疫学調査を実施する予定であったが、人口の多いフィリピン人については最近の既存調査データを使えることが判明したため中止し、バングラデシュ人については所在確認が予想以上に困難であったため、次年度に実施することになった。しかし、パラオ疫学調査に予定していた予算を使って、バングラデシュの対象地域のベースライン調査を実施して、成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
パラオにおいては、質的調査を通して所在の確認できたバングラデシュ人を対象として、保健省・WHOによるNCD危険因子全国調査の方法に準じて、疫学調査を実施する。バングラデシュにおいては、まず、対象地域において、フォーカスグループディカッションを実施して、質的解析を進める。次に、疫学調査の一部を開始する。当初の研究計画では1000人を予定していたが、ベースライン調査の結果に基づき、所得層別に層化抽出し、2000人を対象とすることとし、うち400人の調査を平成27年度、残りを平成28年度に実施する。
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