研究課題
本年度は、プリオン蛋白を濃縮するという意味でPMCAのチューブの中にプリオン蛋白と結合する樹脂と結合しない樹脂を加えることによってPMCAでの増幅が効率よくなるか否かを判定した。当初プリオン蛋白を結合する能力のある樹脂がPMCA効率を上げるのではないかと予想していたが、その予想とは全く異なり、結合能力の無かった陽イオン交換樹脂で劇的にvCJDプリオンのPMCA増幅を上昇させるという結果が得られた。この増幅効率の上昇を詳細に検討すると、絶対的な感度の上昇はみられないものの、最高感度までの増幅のスピードアップに効果があることが明らかとなった。また、血漿をもちいてPMCAを行うには血漿の中に増幅阻害因子が存在するという報告はなされていたが、促進因子も存在することを明らかとした。血漿濃度20%以上ではほとんど血漿を添加した際に見られる抑制効果が相殺されることを示し報告した。本研究の成果として、英国を中心に2013年から2016年の研究機関で4報の論文を発表できた。特に、2014年のEmerg Infect Disと2016年Transfusionは本研究の研究目的に記載した成果の一部として発表したものである。また、本研究の課題以外でも、お互いの研究に接点ができ、我々が日本の硬膜移植後CJDという医原性CJDで見つけたMMiKというコドン120Met/Metであるのにintermediateタイプの異常プリオン蛋白の分子量を示しkuru斑を有するという表現系が、英国の成長ホルモン製剤による医原性CJDでも認められることを英国のグループが発表するという非常に実り多い海外との共同研究となった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 4件、 査読あり 10件、 謝辞記載あり 2件)
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