研究課題
前年度から継続して、[1] 2歳検診時採血検体を用いての宿主の感染防御反応性の測定、 [2]RSV重症急性呼吸器感染における母児間移行抗体の効果、[3]HBV感染例の微生物学的・分子疫学的解析によるリスク評価、[4]拠点医療施設での出生コホートの疾患発症の追跡調査、[5]戸別訪問による出生コホートの追跡調査、[6]就学前健康調査を予定した。[1][2][3]については保存検体を用いて解析を進めている。[4][5][6]については、調査地の共同研究者との実施日程調整の結果、就学前ではなく就学後6歳での追跡調査とすることになった。戸別訪問で所在が確認できた対象児を、再度居住地区の保健所に招き、身体測定と発達検査、諸疾患既往歴聴取を行なうこととした。本年度は対象児の1/3について実施し、残りは次年度に招聘することとした。この検診に併せて、呼吸器感染症・腸管感染症や喘息の危険因子となりうる、受動喫煙のバイオマーカーの定量的検出、腸内細菌叢の特徴づけ、ヘリコバクター感染の検出に利用できる生体試料として、尿・便・唾液・頬粘膜スワブを非観血的に採取した。これらの試料は、次年度その測定・検出を実施するために適切に保管した。また、これまでに調査対象児の2歳までの急性呼吸器感染症罹患を増減させる要因として、家庭内受動喫煙被曝とToll様受容体TLR10-TLR1遺伝子領域の一塩基多型遺伝子型を明らかにしているが、それに加えて急性呼吸器感染症罹患を有意に減少させるHLA-B多型と有意に増加させるHLA-DRB1多型の存在を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
出生コホートの2歳検診時に採取し保存している検体については、順次DNA/RNA調製を進めている。就学時までの諸疾患発症歴を捕捉する目的で検診の実施に取りかかり、予定数を予定期間内に招聘できている。
出生時・2歳検診時に採取した保存検体については、これまで通りに着実に検体調製と測定を進める。6歳検診は残りの対象児の招聘を次年度半ばころまでに完了し、データ解析と採取試料の分析を進める。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Hum Vaccin Immunother.
巻: 12 ページ: 150-158
10.1080/21645515.2015.1060380