研究課題/領域番号 |
25280004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤重 悟 京都大学, 数理解析研究所, 特任教授 (10092321)
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研究分担者 |
牧野 和久 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (60294162)
谷川 眞一 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (30623540)
平井 広志 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20378962)
高澤 兼二郎 法政大学, 理工学部, 准教授 (10583859)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 離散最適化 / アルゴリズム / 劣モジュラ構造 / 組合せ最適化 / 数理計画 |
研究実績の概要 |
機械学習を始め、離散最適化・組合せ最適化の関連分野において、劣モジュラ構造あるいは劣モジュラ的な類似の構造が現れる問題を調査・吟味して、劣モジュラ的構造の観点から重要かつ有用であると考えられる未解決問題ならびに未開拓な課題を整理し、今後の研究の展開に繋がる有用な成果を得た。具体的には、主要な成果は、以下の通りである。 (1)最小化ナップサック問題に対して、キャンセル付きオンライン版を扱い、競合比8をもつ決定的オンラインアルゴリズムを開発した。(2)ホーン規則によるアンチマトロイドの新しい表現法を提案し、その表現法のもとでの基本的な問題とそれを解くアルゴリズムを提案した。特にメンバシップ問題やインファレンス問題に対する線形時間アルゴリズムを与えた。(3)離散凸解析の基礎をなすL凸関数は,その定義域である整数格子をグリッドグラフ,ツリーの直積、さらに一般的なグラフにおきかえても自然に定義できることを明らかにした。(4)制約付き 2-マッチングの新たな枠組を提案し、その問題が多項式時間可解となる有用な十分条件を導き、最大最小定理・組合せ的アルゴリズム・分解定理を与えた。(5)Edmondsの有向木詰込み定理の拡張としてBercziとFrankによって提案されたマトロイド制約付き有向木詰込み予想に対し、反例を与え、マトロイド制約が横断表現やグラフ表現を有する場合は、その予想が正しいことを証明した。(6)ネットワークにおける混雑現象のパラドックスとして Braess パラドックスが良く知られているが、対象のネットワークに付随する制約条件がマトロイド構造を有する場合には Braess パラドックスが生じないことを明らかにした。(7)職探しのjob-matching問題において、ランダムに局所改善を繰り返すことにより、確率1で均衡解に到達することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に研究成果をあげて、国内外の会議で発表し、学術専門誌への発表や投稿を行ってきている。また、今後の研究の展開へ向けての萌芽的な手がかりを得て、研究の新たな展開を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
関連研究に関する調査・計算機実験により得られた知見を基に、研究の更なる展開を図る。全体の計画としては、 1. これまでの調査・研究によって得られた研究課題を整理し、全テーマの研究課題群を横断的に吟味して、相互の関連性を明らかにする。 2. 全テーマの研究課題群の中で密接に関連することが明らかとなり、重要であると認識された問題群を一括りにして、研究推進の新たな課題として、本科研費のメンバー全体でその情報を共有する。 3. 日常的に(必要に応じてメールなどによって)議論や意見交換をして、アイデアなどの情報交換を行なう。研究分担の役割にとらわれることなく独立に、研究課題に応じて適宜、サブグループを構成して、集中して課題の解決に向けて共同研究を進める。 4. 最終年度として総合的に共同研究を進め、得られた研究成果を国際会議等で発表し、関連分野の応用研究にとって使いやすい理論体系とアルゴリズムを整える。さらに、重要な未解決問題を整理し公開し、今後の研究展開のための指針とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度となるH29年度に国際会議などでの研究成果の発表のために、旅費の必要があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題の最終年度において、研究成果を国際会議などで発表することに重きをおき、研究成果を国際的に発信すると共に、今後の研究の展開の指針となるよう、研究を総合的に推進し成果を取りまとめる。
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