研究課題
基盤研究(B)
生物への選択圧を感度よく検出するためには、内分泌系や免疫系、代謝系といった個体内の変化を調査することが肝要である。そこで、背後にある遺伝子発現について、最大エントロピー法により表現型と関連する情報量を最大化する連結部分ネットワークを選び取る方法を開発した。転写因子の結合部位などのデータベースや発現の増減の時間的前後関係を制約条件に組み込み、方向付グラフを推定した。大西洋サケの受精後幼魚にいたるまでの過程を追った公開データから、発生の段階が進むにつれ鍵遺伝子がシグモイド状の発現ダイナミックスを繰り広げる様子が読み取れた。養殖によりエネルギー代謝、免疫系、筋肉の収縮に関連する遺伝子の発現が影響を受けるとの既報の結果と併せて分析したところ、育成環境ではなく遺伝的な変異による差異であることが示唆された。環境やヒトの動植物への選択圧の影響評価は、食生活との関わりにおいても重要である。選択圧を受けた生物は、その代謝産物を変化させる。安全性の評価においては、新品種の代謝産物の量が従来品種の代謝産物の分布に照らして異常値とならないことを保証する検定の枠組みが求められる。そこで、包含確率を下から抑えるタイプと上から抑えるタイプの2種類の許容区間を定義し、実質同等性の枠組みで2標本に基づき分布の包含関係を検定する統計手法を開発した。土壌微生物や生態系など、種の集合体である群集の多様性と構造を定量的に測ることの重要性が認識されている。そこで、群集の遺伝的多様度を測る系統的多様性に注目し、有効な群集の大きさという概念を構成した。これは集団遺伝学における有効な集団の大きさに対応する概念で、構成種の分岐年代の分布をメタ群集からのランダムな間引きにより得られる系統樹のそれに変換して得られる。有効な群集の大きさを観測される種豊度と対比することにより、種組成の偏りの大きさを基準化することが可能となる。
1: 当初の計画以上に進展している
2つの相補的な許容区間に基づく分布の包含関係の検定、および有効な群集の大きさは、昨年夏に着想したアイデアである。
研究開始後、許容区間を用いた2標本の検定問題、有効な群集の大きさという新たな着想を得た。当初の計画に加えて、シミュレーションと実データの解析を通じてこれらの性能を評価する。
昨年夏、2つの相補的な許容区間に基づく分布の包含関係の検定、および有効な群集の大きさというアイデアを新たに着想した。次年度は研究開始時における計画に加えてこれらのパフォーマンスを調査する作業が発生することが想定されたため、そのための人件費・謝金を確保する必要が生じた。そこで初年度は外国出張を中心に研究打ち合わせのための費用を抑えた。次年度使用額は上記作業の補助要員のための人件費・謝金に充てられる。
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