研究課題/領域番号 |
25280010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
上野 玄太 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (40370093)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | データ同化 / 気象学 / 統計数学 |
研究概要 |
太陽電池や風力発電などの自然エネルギーの発生量は日射量・風力によって左右されるため、これらの予測には正確な気象条件の予測が必要である。この目的のため、関東地方を対象として空間間隔 5km の格子点上で、日射量・風力の毎時の予測確率分布を推定するシステムを開発する。日射量予測のポイントはシミュレーションモデルによる雲の再現である。そのために、データ同化手法を用いて、気象数値予報モデルと、地上・衛星・レーダーでの気象観測データを統合し、観測に応じた雲をモデル内に発生させる。予測確率分布はリスク管理を含めた電力配電システムの構築に、また、本システムで同時に得られる気温・湿度などの物理量により、高精度の需要予測に貢献できる。 数値予報モデル(NHM) と模擬観測データを用いて、開発済みのプログラムにできるだけ手を加えない形でデータ同化システムを構成する。必要な計算資源やアンサンブルメンバー数を見積もる最小構成のシステムである。このため、アンサンブルとしてNHM を同時に実行するためのプログラム、モデル変数を観測量に変換する観測演算子のプログラムを作成した。システムの検証が主な目的であるため、粗い空間間隔 50km の格子点での設定で、模擬観測データを用いて同化計算を実行した。また、継続的に日射量・風力の予測計算をを行うための専用の計算機環境の整備を行うとともに、NHM の計算結果の2次元・3次元の可視化プログラムの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算機環境の整備に時間がかかったため、予定していた解像度 5km での数値実験には至らなかった。一方で、計算結果の可視化プログラムの作成が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実行できなかった解像度 5km での数値実験を行うとともに、実データ利用システムの構築を行う。構成した最小構成システムを、実観測データを用いる構成に更新する。このとき、最小構成システムのプログラムの高速化を図る。これは、将来的な領域の拡大および予報時間の延長になることはもちろん、次段階での不確実性の推定にも有用である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として計上した計算サーバーおよびインフィニバンドスイッチの入札を行った結果、予定額よりも安価で購入することができたため。 研究打ち合わせのための旅費として使用する。
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