研究課題/領域番号 |
25280012
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 広明 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 教授 (40205480)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | キャッシュメモリ / 低消費電力制御 / 高バンド幅キャッシュ |
研究実績の概要 |
本年度はキャッシュメモリ上のデータ管理の効率化に関する検討と,高バンド幅かつ低消費電力なキャッシュハードウェア構成に関する検討を行った.. キャッシュメモリ上のデータ管理の効率化に関する検討では,並列プログラムにおける共有データのキャッシュ上での振る舞いに着目した.シミュレーション結果から,このようなデータは再利用回数が多く,性能向上への寄与が大きいことを明らかにした.また,共有データのうち,特に全コアからにアクセスを受けるデータの再利用回数への貢献度が最大となる傾向を見出した.このことは,全コアからアクセスされるデータを他のデータより優先して保護することが性能向上にとって重要であることを示している. 高バンド幅を持つキャッシュメモリを実現するためには,データの管理を行う単位サイズ(ブロックサイズ)の小さいキャッシュ機構でなければならない.その一方で,ブロックサイズの大きいキャッシュ機構でなければ,データアレイに対するタグアレイのハードウェア量が増大し,キャッシュ全体の消費エネルギが増大する悪影響がある.そこで,ブロックサイズの小さいキャッシュ機構と同等の高バンド幅を実現しつつ,ブロックサイズの大きいキャッシュ機構並みにタグアレイの消費電力エネルギを削減するために,データアレイの複数のバンクを単独のタグアレイで管理するキャッシュ機構を提案した.本提案機構により,データ転送性能を維持する一方で,タグアレイに使用されるハードウェア量を削減し,上記に挙げられるキャッシュ機構の中では平均で消費エネルギの削減量が最大となることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り進めている
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であることから,様々なベンチマークプログラムを用いて提案システムの詳細な性能評価を行い,さらなる改良を加える.そして,国内外の会議や学術誌を通じて積極的に成果発表も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を効率よく行えたために、研究補助者の雇用期間が短くなったことと、研究室で所有のコンピュータ設備を使って研究を進めることができたために、外部コンピュータ設備の利用を抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であり、研究のさらなる加速ととりまとめを行うために、詳細なシミュレーションを多くのベンチマークプログラムを使って行う必要があり、そのために、全国共同利用型のスーパーコンピュータを活用する。併せて、これらの取り組みを効率よく行うために研究支援者の年間を通じた雇用が必要である。また、国内外の会議において、成果発表を積極的に行う。これらのために使用する。
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