研究課題/領域番号 |
25280026
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
深澤 良彰 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30120934)
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研究分担者 |
白銀 純子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (00329161)
鷲崎 弘宜 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70350494)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モデル駆動開発 / センサー / アクチュエータ / IoT / プロダクトライン / アスペクト / ソフトウェア部品 |
研究実績の概要 |
本研究は、以下の5本柱から構成されている。 (1)モデル指向ソフトウェア自動生成技術について:異なるドメイン記述言語を用いている環境ごとに、アプリケーションを開発する方法として、MDDを適用する際の問題点を洗い出す。(2)センサー向きソフトウェアパターンについて:既存の組込みソフトウェア向きパターンについての詳細な調査を行い、センサーソフトウェアに適用可能なものを選び出す。(3)センサーソフトウェア部品に関する研究について:セキュアなアプリケーションを構築するためのロギングや認証といった処理は、どんなアプリケーションにも登場する汎用的な処理でもある。既存の処理を再利用し、容易にメインロジックに組み込むことが可能である。まず、これらのインタフェースを明確にし、その後の協調プロトコル合成の準備とする。そこでは、メインロジック、課金、認証等をそれぞれ個別の部品として扱うことを前提とする。(4)アスペクトの抽出に関する研究について:これまでに提案してきたアスペクト指向プログラム言語を利用して、サンプルとなるセンサーソフトウェアを記述し、どのようなアスペクトを抽出すべきであるかについて、予備実験を行う。(5)プロダクトラインを利用した体系的なソフトウェア再利用について:我々が先行研究として行ってきた障がい者支援アプリケーションプロダクトラインの枠組みを残し、コアアセットとして、これまで開発をしてきたセンサーソフトウェア関係の部品を与える。このプロダクトラインを実際に使用し、どのような種類のソフトウェア開発が可能なのかを明確にする。このプロダクトラインをセンサーソフトウェア向きに更新し、どのような機能を備えるのが本質的であるのかを明確にする これらのすべてにおいて、一定の成果を収めつつあると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」で述べたように研究そのものは、順調に進んでいる。このことは、「10.研究発表」の実績を参照しても明らかである。 研究開始当初予想できなかったことは、現時点におけるIoTの大流行である。 IoTの重要性が広く認識されるようになるにつれて、より高い信頼性をもったIoT向けのソフトウェア(以下IoTソフトウェアと呼ぶ)を、より高い生産性で開発することが急務となってきている。しかし、それを実現するための多くのソフトウェア工学的手法においては、IoTソフトウェアであることの特質を活かしきれているとは言い難い。そこで、本研究では、対象ソフトウェアをIoTソフトウェアに限定した場合に有効なソフトウェア開発・保守技術の開発を行うことを新たな目標の一つに掲げた。研究対象とするすべての技術において、統一して、セキュリティの確保を重視することによって、今後もさらに重要視されることが確実な安全性が高いIoTソフトウェアの実現に資するように、更なる研究の遂行が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
IoTソフトウェアに対するソフトウェア工学的手法は幅広い。しかし、1年間の期間延長で、このすべてに渡って研究することはできない。そこで、今後、セキュリティを十分に確保した高信頼IoTソフトウェアを効率的に開発するために、ソフトウェアの再利用とソフトウェアの自動生成という2つの視点に分けてセキュリティ・パターンに関する研究とそのセキュリティ・パターンを利用したソフトウェア開発技法に関する研究の2つの分けて研究を進めていく。一方、このような手法とは異なる手法で開発され、セキュリティに問題を残したIoTソフトウェアも明らかに存在する。このようなIoTソフトウェアに対しては、保守技法として研究を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
「7.現在までの進捗状況」ならびに「8.今後の研究の推進方法」でも述べたように、本研究を始めた時点とは大きく異なり、「IoT」なる用語が頻用され、その重要性が広く認識されるようになってきている。これによって、より高い信頼性をもったIoT向けのソフトウェア(以下IoTソフトウェアと呼ぶ)を、より高い生産性で開発することが急務となってきている。しかし、それを実現するための多くのソフトウェア工学的手法においては、IoTソフトウェアであることの特質を活かしきれているとは言い難い。そこで、本研究では、対象ソフトウェアをIoTソフトウェアに限定した場合に有効なソフトウェア開発・保守技術の開発を行うことを新たな目標の一つに掲げた。研究対象とするすべての技術において、統一して、セキュリティの確保を重視することによって、今後もさらに重要視されることが確実な安全性が高いIoTソフトウェアの実現に資するように、更なる研究の遂行が必要となった。 この研究を進めていくためには、そのための研究経費(主として、研究成果の学会発表にかかる旅費や、論文掲載料などを、その使途とする)が必要となる。ただし、新たな設備・備品等はすでに購入済であるので、新たな購入は行わない。
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