研究課題/領域番号 |
25280037
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
茅 暁陽 山梨大学, 総合研究部, 教授 (20283195)
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研究分担者 |
藤代 一成 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00181347)
山本 高美 和洋女子大学, 人文社会科学系, 准教授 (10327182)
小俣 昌樹 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (60402088)
豊浦 正広 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80550780)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 事例ベース / 統計学習 / 感性 |
研究実績の概要 |
平成26年度は主に衣服のデザインを表す特徴ベクトルの設計と画像からの特徴抽出についての研究を行った.まず,顔の印象に大きく影響する襟のデザインについて,襟の形状を表す特徴ベクトルを設計し,首の肌色を手掛かりに,襟の形状特徴を抽出するアルゴリズムを設計・実装した.この特徴ベクトルを利用して,多次元尺度分類により主用10類の襟デザインを分離可能であることを確認した.さらにOptimum-Path Forestg学習アルゴリズムとRelevance Feedbackを組み合わせて,好みの襟デザインの衣服をサンプル画像データベースから検索するプロトタイプシステムを実装し,特徴ベクトル及びその抽出方法の有効性を確かめることができた.そのほかの衣服特徴として,平成25年度より開発を進めてきたテクスチャとワンポイント飾りの特徴抽出法の改善を行った.さらにスカート以外の衣服の形状も表せるように,スカートの形状特徴ベクトルの見直しを行い,フーリエ記述子を用いた特徴ベクトルを設計・実装した.これらの特徴ベクトル及び抽出法をスケッチによるスカート検索システムに応用し,良好な結果が得られた.成果を2篇の論文にまとめ,国際会議で発表を行った.研究分担者の山本と藤代は3Dスキャナにより採取した人体計測データを分析し,衣服設計することで,パンツの高精度の設計から,その展開に基づいたパンツパターン作成までをカバーするデザインシステムの提案を行った.この研究で確立した個々の3D人体計測データを正確および高速に分析する技術は本研究における深度付きカメラによる人体特徴計測技術の布石となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,大量の衣服のなかから個人に最も「似合う」ものを自動選択する技術の開発を目的とする.「似合う」という関係が,本来二つ以上の相異なる要因同士が互いに調和する状態をさす点に着目し,この調和関係を事例データから機械学習する計算論的アプロー チを新たに提案する.その実現に向けて,衣服と個人の特徴ベクトル空間の設計,特徴ベクトルを自動抽出するための新しいコンピュータビジョン技術の開発,および性質の異なる多次元ベクトルを統合的に扱える学習器の構築を,新たな要素技術として確立する.平成26年度は主に衣服の特徴空間の設計と特徴ベクトルの自動抽出に重点をおきながら,衣服との関係を考慮した人体の3D計測データの分析技術の開発を行い,良好な結果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は襟の形状特徴の抽出技術を開発したが,平成27年度はさらに折り返しや胸元デザインなどのデザイン要素を表す特徴ベクトルの設計と抽出アルゴリズムを開発した上で,先行研究において開発した髪型推奨システムのフレームワークと顔特徴抽出アリゴリズムを利用し,顔特徴と襟デザインとの関係が学習し,襟のデザインにより衣服を推奨するプロトタイプシステムの開発を行う.さらにスケッチによる衣服検索の研究において開発した襟以外の衣服特徴の抽出方法を改善し,その他の衣服特徴も抽出できる技術の開発にも着手する.年度後半には深度付きカメラによる人体特徴計測の実験も開始する. 襟の特徴抽出技術をまとめた論文を国際会議に投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
襟の特徴抽出技術および画像からのテクスチャ特徴抽出に関する研究成果をまとめた論文を平成27年度11月スウェーデンおよび6月フランスで開催される国際会議にそれぞれ投稿中および採択されたため,一部の予算を繰越,次年度の学会参加費および旅費に充てることとした.
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次年度使用額の使用計画 |
襟の特徴抽出技術および画像からのテクスチャ特徴抽出に関する研究成果をまとめた論文を国際会議で発表ための参加費および旅費として使用する予定である.
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