研究課題/領域番号 |
25280039
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石川 佳治 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (80263440)
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研究分担者 |
肖 川 名古屋大学, 高等研究院, 助教 (10643900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | データアナリティクス / 時空間データベース / 移動オブジェクト / モビリティデータ / データストリーム / 位置の曖昧性 / 参加型センシング |
研究実績の概要 |
本研究においては,モビリティデータの分析のための基盤技術の開発を行っている.大規模なデータが実世界において急速に増えているが,それらを有効に活用し,有益な情報を抽出するには新たな技術開発が必要である.特に本研究では自動車や人などの移動オブジェクトにより生み出されるモビリティデータに着目して,新たな技術開発を行っている.今年度の成果は以下のようになる. 1) モビリティデータの代表である移動軌跡データを中心として,時空間データベースの分析・マイニング技術を開発した.具体的には,移動先のカテゴリ情報が付与された意味的な移動軌跡データから移動パターンを抽出するための技術や,道路ネットワーク上のデータを活用し,複数の観点を考慮しながら経路を推薦するための分析・問合せ処理技術を開発した.また,Hadoopなどの並列分散コンピューティング技術の利活用技術も合わせて研究を進めた. 2) リアルタイムの移動分析においてはデータストリーム処理技術が重要であることから,データストリームに対する問合せ処理技術に関する研究を行った.特に,あいまいな情報を表す確率的データストリームを対象とした. 3) 位置の曖昧性に着目したデータベース分析・検索技術についても研究開発を行った.特に,位置情報が確率分布で表される場合の範囲検索問合せや類似問合せについて研究を行った. 4) 近年着目されているクラウドソーシングの技術を空間データベース技術と連携した空間クラウドソーシングに関する研究を進めた.この分野は参加型センシングとも関連が深いため,両者の技術の調査を行い,新たな技術開発に取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度については,特に確率的データストリームや曖昧な位置情報に関する問合せ処理などに関して先進的な成果を出すことができた.また,新たな試みとして開始した参加型センシングに関する研究や意味的移動軌跡データに関するマイニングにおいて興味深いアイデアを出すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度アイデアをまとめたが,完成までには至らなかった曖昧な位置情報に関する問合せ処理のアイデアや,参加型センシング・空間クラウドソーシング,意味的移動軌跡データの分析・マイニング技術などについて実験・評価を含めた研究を行い,国際会議・学術論文誌への投稿・発表を行う. また,これまですでに確立した手法について,さらに発展された技術の研究開発も引き続き行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表のために年度後半に国際会議への参加を予定していたが,実際には成果発表に適切な国際会議が年度末の時期に存在せず,翌年度の国際会議に投稿・発表することとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおり,翌年度の国際会議への投稿としたが,実際,その論文が2015年4月の国際会議に採録されることが決定したので,その発表のための旅費として使用する.
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