研究課題/領域番号 |
25280051
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
坂田 省吾 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50153888)
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研究分担者 |
伊藤 功 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20183741)
岡田 佳奈 広島大学, 総合科学研究科, 特任助教 (50528263)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 時間認知 / 脳認知科学 / 時間情報処理 / 海馬機能 / ピーク法 / 海馬の非対称性 |
研究概要 |
本研究の目的は時間認知における海馬機能に焦点を当て,電気生理学的にその脳内メカニズムを明らかにしようとするものである。行動制約のより少ない条件下で,時間認知課題を実行中のラットから海馬θ波の測定をするためにテレメトリーシステムを利用する。海馬θ波は脳の海馬部位から測定される律動的で振幅の大きな脳波である。オペラント条件づけのピーク法を訓練したラットの時間弁別課題実行中の海馬θ波を測定した。マウスも同様に訓練中である。マウスはラットの約10分の1の体重であるために,餌を強化子として実験を行う場合に1セッションの強化数がラットよりも少なくなる。そのため,ラットの訓練よりもマウスの訓練の方が日数を多く必要とする。 測定した海馬θ波の客観的評価としてはFFT 分析をすることによりパワー値として算出できる。時間経過と海馬θ波の対応関係を周波数帯域で区分してパワー値を求めた。マウスでは一般的に実験で用いられるC57BL/6J 系と,研究分担者が用いている左右臓器が転位しているiv マウスを用いるが,今年度はピーク法の訓練中であり,マウスの脳波計測データは訓練後に測定する。 本研究は時間認知に関する行動実験と海馬の脳構造解明のためのin vitro 研究から構成される。その脳構造解明のために伊藤博士等は抗原提示タンパク質MHC1の受容体の一つであるPirBをノックアウトしたマウスを用いて電気生理学的解析を行い、このマウスでは海馬神経回路の非対称性が完全に消失していることを証明しつつある。MHC1のサブユニットであるβ2mのノックアウトマウスにおいて同様の結果を既に報告している。これらの事実はMHC1/ PirB系が海馬神経回路の非対称性形成に重要である事を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットとマウスを用いた時間認知課題であるオペラント条件づけのピーク法の訓練が先行研究で報告されているように順調に進んでいること,および時間認知課題実行中のラットの海馬θ波の計測がはじまり,次年度にはマウスの海馬脳波測定も見込まれるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様に次年度以降もラット,マウスのピーク法の訓練を続け,時間認知における海馬機能の電気生理学的検討を進めるために,計画通りラットとマウスの海馬θ波を計測してデータ数を増やし,ウェーブレット解析による分析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は謝金の支出が予定よりも少なかったので次年度への繰越となったが,次年度は実験が本格化するので引き続き必要になる予定である。 2年目は実験が本格化するので必要な実験計画に合わせて引き続き計画的に使用する。
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