同じ人が同じ作業をやる時でも、ある時はうまくでき、あるときはうまくできない。この様な作業結果の違いは、作業を行った時の注意や準備状態に大きく左右されている。注意はその重要性が古くから知られており、広く研究が進められている。しかし、準備状態の研究はほとんど手がつけられていないのが現状である。本研究では応募者が開発した「準備内観報告パラダイム」による行動実験の知見にもとづき(Yamagishiら2010)、準備状況の進行過程の神経メカニズムを明らかにすることを主目的とする。 今年度はこれまでに収集したすべてのfMRIならびにMEG実験の被験者のデータの統計解析を進め、fMRIの結果をMEGのソースの確からしい場所として逆問題を解き、脳表上の神経活動をミリ秒単位で推定した。この結果、作業の準備をすすめる際には、rCMAの特にガンマ波の活動があがり、その上がり方が大きいほど、後の作業パフォーマンスが高いことが統計的に示された。また、人が準備ができたと思うまでの時間は毎回ばらつき、その時間の逆数が正規分布に従うことが明らかになった。これはLater Modelで説明することが可能で、準備のレベルが脳内で時間とともに上昇していることを示唆している。また、リアルタイムで脳活動を読みだしでコーディングができるハードウェアシステムを構築し、準備状況の脳活動が計測できる環境設計を完了した。また、論文ならびに学会での発表を行い、多くの人への情報公開を行った。申請書作成時の計画を完了した。
|