研究課題/領域番号 |
25280057
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
岡部 孝弘 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (00396904)
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研究分担者 |
佐藤 いまり 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (50413927)
佐藤 洋一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70302627)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / コンピュータグラフィックス / パターン認識 / コンピュテーショナルフォトグラフィ |
研究実績の概要 |
物体の見え,つまり,物体表面上で観察される明るさと色は,光源の空間的な分布だけでなく分光的な分布にも依存して大きく変化する.ところが,従来,空間分布に関しては明るさ解析の分野で,分光分布に関しては色解析の分野で,ほぼ独立に研究が行われてきた.そこで本研究では,任意の空間分布・分光分布を持つ光源環境における物体の見えを扱うための統一的枠組み,ならびに,実験環境を構築して,明るさ解析と色解析の統一を目指す.さらに,構築した統一的枠組みに基づいて,画像の理解・認識・生成への応用にも取り組む. 平成26年度は,主に,(1)画像の効率的な獲得,(2)反射成分の分離,(3)物体のモデリング,および,(4)光源環境の計測の4つの課題に取り組んだ.(1)では,多波長・多方向光源下で観察される画素値を並べた行列のスパース性や低ランク性に基づいて,圧縮センシングの枠組みで,多波長・多方向光源下の画像を効率的に獲得する手法を提案した.特に,スパース性に基づく手法では,反射の物理モデルを考慮した効率的な辞書学習を行い,低ランク性に基づく手法では,空間的な類似性を考慮した復元を行った.(2)では,独立成分分析に基づいて,多波長・多方向光源下の画像を拡散反射成分と鏡面反射成分に分離する手法を提案した.(3)では,分光イメージングと照度差ステレオを統合して,物体表面の法線と分光反射率を同時に推定する手法を開発した.特に,鏡面反射成分を除去する頑健な手法を提案するとともに,推定に必要な画像の枚数,および,画素値のノイズを考慮した光源の色・方向の最適化についても議論した.(4)では,次年度のイメージベーストレンダリング(実画像に基づく照明シミュレーション)への応用も想定して,ハイパースペクトルカメラを用いたシーンの全方位光源環境の計測,ならびに,そのCGへの応用を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統一的枠組みの構築(ならびにその画像の効率的な獲得へのフィードバック),および,形状・反射率の推定という平成26年度の計画で述べた項目を実現しており,また,次年度の研究項目についても基礎的な検討を開始していることから,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,画像データの解析や画像の認識・理解・生成への応用に取り組む.特に,画像の生成(イメージベーストレンダリング)や認識(マテリアル認識)への応用に取り組むとともに,これまでに開発した手法をブラッシュアップする.
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次年度使用額が生じた理由 |
数値計算用PCを購入予定であったが,短期間での高性能化・低価格化による陳腐化が著しいために,平成26年度は既存のPCも活用することにして,新規PCの購入時期を平成27年度に先送りしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
数値計算用PCの購入に充てる.
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