研究課題/領域番号 |
25280069
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
小野 順貴 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (80334259)
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研究分担者 |
牧野 昭二 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (60396190)
宮部 滋樹 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 助教 (50598745)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロフォンアレイ / 非同期 / 分散 / 音源定位 / 音源分離 / サンプリング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、非同期録音信号の時空間ブラインドアラインメント技術の確立と、非同期分散録音機器に基づく応用システムの構築である。 平成26年度は、まず、ブラインドアラインメント技術の確立に向けて、1)サンプリング周波数ミスマッチの補償アルゴリズムの構築、2)音源到来時間に基づく音源位置・マイク位置の同時推定アルゴリズムの構築、3)音源到来時間差に基づく音源位置・マイク位置の同時推定アルゴリズムへの発展を行った。1)は時間方向に関するアラインメント問題を扱うものであり、微小なサンプリング周波数ミスマッチでさえアレイ信号処理には深刻な問題を引き起こすため、異なる録音機器を用いた分散録音を用いたアレイ信号処理を行うための必須の技術である。我々は昨年に引き続き,時間周波数領域におけるサンプリングミスマッチ量のブラインド推定とその補償アルゴリズムを構築した。2)3)は、空間方向のアラインメント問題であり、少数のパラメータのグリッドサーチ以外は全てのパラメータを閉形式で求めることができる画期的なアルゴリズムを導出した。 また、応用システムの構築へ向けて、4)非同期分散マイクロフォンによる音源分離、5)スマートフォンとファイル共有システムを用いた分散録音システムの実現、6)交通量モニタリング、7)非負値観測信号の相関推定アルゴリズムの構築を行った。4)は同期誤差に頑健な非負値行列分解を用いた手法を発展させた。5)は iPhoneと Dropboxを用い、非同期分散録音の一形態を実現した。6)は具体的な応用として、交通量を非同期分散マイクにより計測する手法を複数検討した。7)では、同期誤差により位相差情報が信頼できない場合でも、これを欠損データとして扱い、信号間の相互相関を推定する新しい効率的なアルゴリズムを導出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の2大目的であったブラインドアラインメント技術の確立、非同期分散録音に基づく応用システム構築のどちらにおいても、研究計画時には想定していなかった技術的な進展が得られ、ジャーナル論文1本、査読付き国際会議論文3本を出版した。また、招待講演を2個行い、本共同研究で日本音響学会学生優秀発表賞を2件受賞するなど、当該分野に大きなインパクトを与えたと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
要素技術が確立されつつあると考えられる。平成27年度はデモシステムや応用システムの構築に力をいれていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
雇用していた特任研究員が研究所のPDポジションを獲得し、雇用経費が不用となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究効率化のため、新たな特任研究員、もしくは技術補佐員を雇用する人件費として使用する。
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