研究課題/領域番号 |
25280078
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
赤間 清 北海道大学, 情報基盤センター, 特任教授 (50126265)
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研究分担者 |
荒木 健治 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (50202742)
三浦 克宜 北見工業大学, 工学部, 講師 (50636587)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 求解問題 / 等価変換 / ルール生成 / 並列プログラム生成 / 参照制約 / 論理構造 / モデルインターセクション / 言語学習 |
研究実績の概要 |
1. 一階述語論理式とアトムのペアで記述されたすべての求解問題を対象とし、一階述語論理式を節集合に変換する。元の求解問題と変換後の求解問題を等価な問題とするためには、適用するすべての変換を等価変換とすればよい。そのために既存のスコーレム化と異なる新しいスコーレム化、すなわち意味保存スコーレム化を研究した。得られる節集合は従来の節集合と異なり、関数変数をアトムの中に含む可能性がある。理論的には、その関数変数は一番外側で存在束縛されている。そのような節集合を多様な等価変換ルールで変換して計算を行う方法を研究した。これにより、一階述語論理式とアトムで記述されたすべての求解問題を解く枠組みを初めて確立することができた。
2. 論理等価式などからルールを生成する方法を研究した。また、論理等価式を帰納法を用いて証明する方法を提案し、その実験システムを構築した。ルール生成と証明を相互に呼び合う計算を実現し、難易度の高い証明を等価変換ルールを基礎として自動的に行うためのいろいろな基礎技術を与えた。また、ルール生成パラレルという新しい並列プログラム構築スキーマについて研究し、実験でその有効性を検討した。
3. 参照制約に基づく知識表現系の理論を与えた。データベース問い合わせ言語もこの範囲の表現と意味論で実現できた。データベースに対して自然言語で問い合わせする設定を用いて、自然言語から意味を作るシステムを学習的に作り出す実験を行い、今後の発展の見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
求解問題の解法を理論的にまた実験的に研究した。一階述語論理式とアトムで記述されたすべての求解問題を解くために適用できる方法を初めて確立することができた。また、この理論により、関数変数などの新概念を導入し、一階述語論理を明確に拡張することができた。この理論は、従来の理論を根底から変革し、新しい発展の道を開くものである。ルール生成と計算に関しては、ルール生成パラレルという新しい並列プログラム構築スキーマを研究した。また論理等価式の証明とルール生成の研究を進展させた。参照制約に基づく知識表現系のもとでの自然言語学習のプロトタイプを作成した。これらの研究の進展により、新しいセマンティックWebの構築理論に向けて着実な成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
一階述語論理式とアトムで記述されたすべての求解問題を効率的に解くために等価変換ルールの適用制御を研究する。いろいろな等価変換ルールのうちどのルールを、どこの場所にどのような順番で適用するかは、計算の効率に大きく影響する。等価変換ルールの適用制御を研究することは、実用的なシステムを作るうえで重要な課題である。次の段階では、適用制御を学習的に改善することを考えなくてはならない。多数の問題を解くうちに、より巧妙な適用制御を学習していくシステムを目指す。求解問題ソルバーにアクセスする自然言語インターフェースに関しても研究を進め、言語学習系を持つ適応的なシステムの可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費として使うことが難しかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議登録料や旅費として使う予定である。
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