• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

実用的な日本語格解析のための確率的日本語主辞駆動句構造文法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25280084
研究機関愛媛大学

研究代表者

二宮 崇  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20444094)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2019-03-31
キーワード自然言語処理 / 構文解析 / HPSG / 言語学 / 人工知能
研究実績の概要

平成29年度は、深層学習の研究として、エンコーダーデコーダーモデルのエンコーダー部に構文解析技術を導入する研究・開発を行った。研究計画当初は従来の確率モデルを用いて日本語格解析のための構文解析を行う予定であったが、従来の確率モデルでは十分な精度が得られないことが判明したため、深層学習の技術を基にした確率モデルを実装するように研究計画を変更した。平成29年度は、エンコーダーデコーダーモデルにおいて構文解析技術を導入することで、深層学習と構文解析に関する技術と知見を得ることを目標とした。
エンコーダーデコーダーモデルは、主に機械翻訳やキャプション生成で用いられている深層学習の技術の一つであり、エンコーダーおよびデコーダーはLSTM等のユニットを用いた再帰型ニューラルネットワークにより構成されている。本研究で提案する手法は、構文解析技術であるCKYアルゴリズムの計算順序に従った計算を行う畳み込みネットワークを構成し、各単語に対するLSTMの出力をこのネットワークが受け取ることで、句構造を表す内部状態を計算する。従来手法であるLSTMの内部状態に対するアテンションに加え、句構造を表す2次元テーブルに格納された内部状態にアテンションを適用することで、句と訳語とのアライメントを実現しており、アテンションを通して、句構造を表す畳み込みニューラルネットワークの学習が行われる。実験により、機械翻訳の翻訳精度指標であるBLEUが0.66ポイント向上すること、および、可視化により、句に対するアライメントが実現されることを示した。この研究・開発を通して、深層学習および深層学習ツールであるChainerに関する十分な技術と知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画当初に予定していた従来の確率モデルでは十分な精度が得られないことが判明した。深層学習技術を基にした確率モデルを構文解析器に導入し、精度を改善する必要があるが、想定以上に時間を要している。また、平成29年度は、大学において情報工学科教育用計算機導入の業務および工学部改組のための業務を行ったが、これらの業務の多忙により、深層学習技術の導入に充てる時間が十分に得られなかった。

今後の研究の推進方策

平成30年度は、これまでに開発した日本語HPSGツリーバンクおよび日本語HPSG文法の精緻化と修正を行い、深層学習と決定性構文解析を導入することで実用的な日本語格解析システムを実現する。日本語HPSGツリーバンクと日本語HPSG文法については、自然言語処理ツールのNLTKを用いて開発済みであり、平成29年度に深層学習ツールのChainerを用いて開発したエンコーダーの技術を用いることで、深層学習による決定性構文解析を実現する。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度に、研究計画当初に予定していた従来の確率モデルでは十分な精度が得られないことが判明したため、深層学習を基にした確率モデルを構文解析器に導入するように計画を変更した。そのため、研究計画に遅延が生じ、研究成果の発表を平成30年度に行うことにした。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] 実世界参照による分野特有の固有表現認識の精度向上2017

    • 著者名/発表者名
      友利 涼、二宮 崇、森 信介
    • 雑誌名

      自然言語処理

      巻: 24 ページ: 655~668

    • DOI

      10.5715/jnlp.24.655

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] シンボルグラウンディングによる分野特有の単語分割の精度向上2017

    • 著者名/発表者名
      友利 涼、亀甲 博貴、二宮 崇、森 信介、鶴岡 慶雅
    • 雑誌名

      自然言語処理

      巻: 24 ページ: 447~461

    • DOI

      10.5715/jnlp.24.447

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] CKY-based Convolutional Attention for Neural Machine Translation2017

    • 著者名/発表者名
      Taiki Watanabe, Akihiro Tamura and Takashi Ninomiya
    • 雑誌名

      Proceedings of the The 8th International Joint Conference on Natural Language Processing (IJCNLP 2017)

      巻: Volume 2: Short Papers ページ: 1~6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 単語の多義性を考慮した対訳単語対の抽出2018

    • 著者名/発表者名
      中本 裕大, 田村 晃裕, 二宮 崇
    • 学会等名
      言語処理学会 第24回年次大会
  • [学会発表] 画像物体間の構造情報を用いた深層学習によるキャプション生成2018

    • 著者名/発表者名
      野口 敬輔, 二宮 崇, 田村 晃裕
    • 学会等名
      言語処理学会 第24回年次大会
  • [学会発表] 双方向翻訳のための中間表現制約を用いたニューラル機械翻訳2018

    • 著者名/発表者名
      小林 尚輝, 田村 晃裕, 二宮 崇, 高村 大也, 奥村 学
    • 学会等名
      言語処理学会 第24回年次大会
  • [学会発表] Gumbel Samplingを用いた敵対性ニューラル機械翻訳2018

    • 著者名/発表者名
      白井 圭佑, 江里口 瑛子, 橋本 和真, 森 信介, 二宮 崇
    • 学会等名
      言語処理学会 第24回年次大会
  • [学会発表] 固有表現情報を用いたニューラル機械翻訳2018

    • 著者名/発表者名
      鵜川 新, 田村 晃裕, 二宮 崇, 高村 大也, 奥村 学
    • 学会等名
      言語処理学会 第24回年次大会
  • [学会発表] 人工知能の最前線~深層学習の衝撃と発展の経緯、深層学習でできること/できないこと~2018

    • 著者名/発表者名
      二宮 崇
    • 学会等名
      昭和会 平成30年2月例会
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工知能と深層学習2018

    • 著者名/発表者名
      二宮 崇
    • 学会等名
      四国総合研究所 社内AI技術勉強会
    • 招待講演
  • [学会発表] 軌道回路の状態基準保全に向けた検討(その2)‐機械学習による設備状態のトレンド分析-2017

    • 著者名/発表者名
      志田 洋,武市 徹,大串 裕郁,二宮 崇,高橋 寛
    • 学会等名
      日本信頼性学会第25回春季信頼性シンポジウム
  • [学会発表] 画像処理と深層学習による微小害虫の検出2017

    • 著者名/発表者名
      中浦 大貴, 渡邊 大貴, 増成 紳介, 矢野 良典, 河野 靖, 木下 浩二, 二宮 崇, 田村 晃裕, 高橋 寛, 王 森レイ, 樋上 喜信, 藤田 欣裕, 二宮 宏
    • 学会等名
      平成29年度 電気関係学会四国支部連合大会
  • [学会発表] 深層学習による柑橘類果実の個数推定2017

    • 著者名/発表者名
      野口 敬輔, 小川 達也, 安保 良佑, 高原 圭太, 河野 靖, 木下 浩二, 二宮 崇, 田村 晃裕, 高橋 寛, 王 森レイ, 樋上 善信, 藤田 欣裕, 二宮 宏
    • 学会等名
      平成29年度 電気関係学会四国支部連合大会
  • [学会発表] 3年先を見据えたAI~機械学習と深層学習~2017

    • 著者名/発表者名
      二宮 崇
    • 学会等名
      愛媛ニアショア開発協議会 創立5周年通常総会・講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] シンボルグラウンディングと自然言語処理2017

    • 著者名/発表者名
      二宮 崇
    • 学会等名
      「all-words WSD システムの構築及び分類語彙表と岩波国語辞典の対応表作成への利用」研究発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] シンボルグラウンディングに関する研究調査と愛媛大学での取り組み2017

    • 著者名/発表者名
      二宮 崇
    • 学会等名
      言語処理・計算言語学研究会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi