研究課題/領域番号 |
25280088
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山内 寛紀 立命館大学, 理工学部, 教授 (10288623)
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研究分担者 |
福水 洋平 立命館大学, 理工学部, 准教授 (60467008)
泉 知論 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30303887)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 絶対類似性判断 / 超解像 / 3Dインポーズ / 画像処理Viewer / 人物検出 / 人物姿勢推定 |
研究概要 |
25年度は以下の5項目の研究を進めた。1.の絶対類似性判断の導入では、具体的に防犯カメラによる人物の顔鑑定を30件以上行い、防犯カメラ画像にて顔の異同識別を行う分離項目を約80項目抽出し、其々について、2分類から10分類で識別分類プラットフォームを作成した。特に、画像劣化の強度と、顔画像のサイズ、顔の画角に対応して、分類項目のクラス分けを行ったのが特徴である。2.の超解像技術の応用による劣化画像の改善では、ボヤケとブレと量子化による劣化顔画像の改善に焦点を当てて研究を進めた。特に、画像の高解像化に有効なContourlet Transformと、Markov Random Fieldを組み合わせる手法をボヤケとブレによる劣化の改善に適用し、従来の逆フィルタ、ウィナーフィルター、コンボリューション法に対して優位であることが確認した。3.の3Dスーパーインポーズの革新では、ポリゴンベースの3次元顔画像モデルに、正面顔画像と側面顔画像のテクスチャを半自動的に貼り付けて。任意角度からの顔画像を得る研究を進めた。現在は、1個の3次元顔モデルに張り付けるプロセスに取り組んでいる段階である。4.の画像処理Viewerの作成では、計画を1年前倒しで着手した、高精度ポインティングのViewerを完成させた。5.の人物検出精度の向上の研究と人物姿勢推定の研究では、人物検出において、混合ガウス分布による画素単位での検出処理と、この検出画素集団と人物形状との類似性判定を行う処理を組み合わせる方法を新提案し、大幅な検出精度の向上を達成し、その成果を国際会議で発表した。また、人物姿勢推定の研究では、人体を関節で結合された26次元の3次元連結モデルで表現し、機械学習にて行動分類する手法をベースとして研究を進めた。この成果は、学会論文誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
項目1.の絶対類似性判断の導入は、当初計画通り進捗している。特に、警察から依頼された30件以上の顔鑑定に裏付けされた顔の絶対類似性判断基準は、極めて実践性の高いものである。このプラットフォームにより、顔鑑定での客観的な鑑定システムを構築する足掛かりが得られた。項目2.の超解像技術の応用による劣化画像の改善は、研究方向を変更した。計画では、動画超解像を推進することとなっていたが、その効果は、画像の拡大やボヤケ劣化に限定されることが明らかとなってきたからである。実際の防犯映像の劣化主要因は、量子化ノイズ(特にブロックノイズ)による劣化であるため、動画超解像技術の単純な延長線上では効果が期待できない。この問題を解決するため、画像の高解像化に有効なContourlet Transformと、Markov Random Fieldを組み合わせる手法を、量子化ノイズによる劣化画像に適用する方向で研究を進めている。項目3.の3Dスーパーインポーズの革新は、多少遅れ気味であるが順調に進んでいる。最終目標である顔への適用を図る前に、車の異動識別に適用して方針の正しさを裏付けてた。また、顔モデルにテクスチャを張り付けることで所望の結果が得られることも確認した。項目4.の画像処理Viewerの作成は、計画を発展的に変更した。計画では、市販汎用画像処理パッケージのソケット開発の方向であったが、システムの設計自由度が制限されることが明らかになってきたので、ゼロから開発することとした。このため、開発工数が増大するので、1年前倒しで着手することとした。共通して重要な、Viewerとポインターを開発し、プラットフォームの構築を終えた。項目5.の人物検出精度の向上の研究と人物姿勢推定の研究は、従来からの研究蓄積が豊富なので順調に成果を上げている。国際会議での発表と学会論文誌への投稿を行った。
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今後の研究の推進方策 |
項目1.の絶対類似性判断の導入は、25年度に開発したプラットフォームの上に、半自動的な顔鑑定システムを構築して顔鑑定の定量化を図る。個別の判定項目の特徴抽出と判別、及び多変量統計解析が主眼となる。項目2.の超解像技術の応用による劣化画像の改善は、Contourlet Transformと、Markov Random Fieldを組み合わせる手法を、量子化ノイズによる劣化画像に適用する方向で研究を継続する。さらに、この処理の後に、動画超解像を行うことも検討する。項目3.の3Dスーパーインポーズの革新は、25年度の成果を受けて研究を本格化する。具体的には、20種類程度の具体的な3D顔モデルを作成し、モーフィングで連結するシステムである。そのため、3Dスキャンを購入する。項目4.の画像処理Viewerの作成は、25年度に作成した、Viewerのプラットフォームの上に、レンズ歪み補正プログラム、3D身長計測プログラム、色補正プログラム、画像鮮明化プログラム、画角フリーな顔画像作成プログラムを実装する。項目5.の人物検出精度の向上の研究と人物姿勢推定の研究は、カメラ間の人物追跡、人物特徴の抽出と注釈作成及びアバター表示、人物姿勢推定に重きを置いて研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
3Dスーパーインポーズの研究では、実際の人物から、3D顔データを採取することが必要である。そのためには3Dスキャナが必要である。定価が300万円程度するので、25年度予算から100万円程度持越し、26年度予算を合算して購入するため。 3Dスキャナの購入(値引きを受けて200万円程度で購入する方向で交渉中)
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