研究実績の概要 |
平成28年度は平成27年度に引き続き確率伝搬法にもとづくコミュニティ抽出の計算モデルの数値実験,統計的解析を実施した.生成モデルとネットワークの統計的性質が提案した計算モデルに与える影響の分析を通して高性能の確率的コミュニティ検出計算モデルの構築に成功した平成27年度までの成果をさらに発展させ「Journal of the Physical Society of Japan, Vol.85, No.11, Article ID.114802 (2016)」における査読付き学術原著論文として公開した.更に研究代表者は山形大学の安田宗樹准教授との協力により同計算モデルに統計物理学における適応TAP自由エネルギーの摂動論的解釈を与えることに成功し,「Journal of the Physical Society of Japan, Vol.85, No.7, Article ID.075001 (2016)」における査読付き学術原著論文として公開した.また,日本大学の和泉勇治准教授と協力し,インターネットを介しての動画からの人物検出への本研究課題の研究成果の一部を転用する形での展開に成功し,その成果は「IEEE Internet of Things Journal (2016年度中にEarly Accessが開始, DOI:10.1109/JIOT.2016.2557814)」への掲載が決定している.これらは当初の研究計画立案の段階では想定されなかった成果として評価される.更にコミュニティ検出におけるモジュラリティを評価関数とする最適化問題に量子力学的揺らぎを導入した量子アニーリング法の提案を行うという,当初の研究計画では想定しなかった方向に展開している.その成果の一部は日本物理学会第72回年次大会において発表している.
|