本年度は以下の研究を行った: (a)人の付き添い行動の計測とアウェアネスモデルの構築と評価:前年度に開発した付き添い行動計測システムを用いて,学外の施設で実際の付き添い行動を計測し,多様な状況下で高信頼に計測できることを検証した.さらに,HCRF(隠れ条件付き確率場)に基づくアウェアネス推定の実験を行い,オンラインでの識別が行えることを検証するとともに,多様な状況への拡張について検討した. (b)人の状態推定のための各種状態量の測定手法の開発:人の状態やアウェアネスをよりよく推定するための手法として,多様な照明条件下での顔発見・認識手法,顔向きの推定手法,体の向きの推定手法を開発し,従来手法より精度が向上することを実験的に検証した. (c)案内行動のための行動生成手法の開発:付き添いの一環としてロボットが人を誘導する状況において,ロボットが人のアウェアネスを失わず,また安全に移動するための行動を,Social Force Modelと強化学習の組み合わせで獲得する手法を開発し,シミュレーションと実験で検証を行った. (d)付き添い行動の評価:歩行と休憩(着席)の2状態からなる人の振る舞いに対し,休憩時の周囲の物体や他人の配置が異なる複数の場合について,適応的な付き添い行動の実験を行った.ユーザ評価の結果,ロボットの振る舞いが,単に追従を行う場合に比べて,よりユーザや周囲環境に配慮したものであるということが示された.
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