研究課題/領域番号 |
25280101
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
永島 計 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40275194)
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研究分担者 |
時澤 健 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (00454083)
中田 大貴 奈良女子大学, その他部局等, 准教授 (40571732)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 温度感覚 / 温熱的快不快感 / 暑熱 / 寒冷 / 局所感覚 / 脱水 |
研究実績の概要 |
研究の大目標は、衣服内環境のような小環境における温熱感覚を評価すること、また客観的な温熱感覚の評価方法を開発することになる。特に温、湿度、衣服を構成する素材の影響に注目し研究を行うことである。 H27年度は①全身温度環境が局所温度環境に与える影響を、心理生理学的手法、および機能的MRIを用いて明らかにすること、②素材、温度の局所感覚を機能的NIRSを用いて明らかにすること、③継続的な暑熱暴露、高湿度暴露が全身の温熱感覚に与える影響を明らかにすることであった。 以下に研究の成果を示す。 ①局所温度感覚は、全身の表面温度条件により強く影響を受けることが明らかになった。特に全身を冷却した場合、局所が冷たく感じれば、より不快に感じ;一方、局所が暖かく感じれば、より快適に感じることが明らかになった。この評価に関しては冷感に関しては島皮質が、快感に関しては帯状回などが関与することが明らかになった。これらの知見については学会発表を行い、現在論文作成中である。 ②素材の違い、温度により局所温度感覚はfNIRSで評価できる可能性が示された。論文化を検討中である。 ③暑熱暴露は体内の水分条件(脱水など)によって変化することを明らかにした。脱水は暑さ感覚の低下を来すことを明らかにし、論文化を行った(Physiology and Behavior, 2016)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、目的としていた実験の大部分は終了、あるいは現在実験中である。論文化を早急に急ぐ必要はある。最終的に、行った実験を統合し、温熱感覚と快感についての総論、身体周囲環境との関係が描けるデータはそろいつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であり、以下のような現在進行形の補足実験、データ解析および論文化、複数の実験データを集約した解析を行う予定である。 ①温度刺激に関わる脳の反応の温度特異性の評価。現在までおこなったfMRIをもちいた実験では温度刺激に対して一様な反応がみられた。しかし、温度刺激の強さ、冷たい/暖かいなどの温度刺激の質に対する反応パターン、あるいは反応部位などの違いは考慮しなかった。このため、これらの違いを描出するためのプロトコールを作成し、現在実験を開始している。 ②温度感覚は需要と評価に、一般的な感覚と同様分類されると考えられる。視覚、嗅覚などは、この2つの違いが描出されているが、温度については明確ではない。 ①、②の実験により、温度感覚の脳機構の多くは明らかになり、また包括的な5年間のデータ解析により、研究の大目標を達成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
fMRIを用いた研究において、生理学研究所からの一部補助がでたため、交通費、謝金において余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
データの蓄積があるため、実験補助者を週2回雇用し、データ解析をスピードアップする予定である。
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