研究課題/領域番号 |
25280103
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
野坂 大喜 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80302040)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 乳がん / 術中迅速診断 / センチネルリンパ節 |
研究実績の概要 |
本年度は迅速乳がん転移細胞蛍光検査技術の研究を行うとともに術中迅速病理細胞診断における臨床的技術評価を行った。 迅速乳がん転移細胞蛍光検査技術の研究では、術中迅速診断においては開腹中の診断となることから、30 分程度で外科執刀医への診断報告が必要であるものの、免疫組織化学染色法では30 分以上の染色時間を要することから、蛍光染色による高感度化とともに染色短縮化技術の研究を行った。高感度化においては蛍光標識ミックス抗体と抗原抗体反応促進緩衝剤の応用化により単独抗原検出に比較して2倍以上の感度向上を検出した。一方、染色時間の短縮化においては超音波および荷電処理による抗原抗体反応の短縮化を図ったものの、大幅な短縮効果は得られなかったことから、さらなる検討が必要との結果に至った。 術中迅速病理細胞診断における臨床的技術評価においては平成25年度から27年度までに研究開発した技術について総合評価を実施した。比較にはサイトケラチンmRNAの発現によるリアルタイムPCR解析と従来のHE染色標本を用いた。その結果、従来のHE染色のみでの観察に比較して有意に検出が確認された。一方、遺伝子解析による検出感度には及ばなかったものの、遺伝子解析では同時に形態観察を行うことは困難であるのに対し、本法では高感度検出と形態観察の併用が可能であることから、外科摘出後臓器の病理学的再検証を行う上で、本法は優れていると考えられた。 以上のことから、本研究開発技術は従来法に比較して高感度かつ外科手術後の再検証が行える上で、有用な検出システムであるといえるものの、臨床応用化においてはさらなる時間短縮技術の検討を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
術中迅速病理細胞診断における臨床的技術評価において検証に充分な症例数を確保できておらず、サンプル数を追加した上で最終評価を行う必要があり、やや遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
術中迅速病理細胞診断における臨床的技術評価において追加症例の確保を行い、最終評価を行う。また染色時間の短縮化において技術的課題が残されており、現在2ステップ法で検出を行っている作業工程を化学発光による1ステップ化を検討し技術的解決を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究期間内に術中迅速病理細胞診断における臨床的技術評価において、充分な検証用症例を確保できず、次年度内に不足分症例を確保し最終検証を行うため。 また当該研究開発過程において一部技術開発が目標値を達成していないことから、追加検証時に新技術を併せて検討するため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は追加症例を確保し分析を行うための染色用試薬などの消耗品の購入に充てるとともに、最終評価結果を国際学会において発表するために使用する。
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