研究課題
本年度研究においては迅速乳がん転移細胞検査の高感度化に関する研究開発を実施した。昨年度までの研究開発においては蛍光観察とマルチミックス抗体による高感度化を行っていたが、遺伝子検査法に比較して充分な感度が得られていなかった。そこで検出感度向上のため、マルチミックス抗体に対して新たに化学発光による高感度技術の導入を図った。化学発光においては励起光が不要となる一方、フォトンの測定が必要となることから、新たに検出系としてPMTを導入し第3世代プロトタイプを開発すると同時に、病理組織用化学発光染色技術について検討を行った。蛍光測定との相違として化学発光においてはその発光最終過程においてアルカリフォスファターゼ又はペルオキシダーゼによって酵素反応を生じさせ、化学発光物質からフォトンを発生させることが必須となる。その場合、ターゲットとなるリンパ組織に前述の酵素が含まれる場合、バックグラウンドノイズとして偽陽性を生じる原因となる。そのため実染色組織を用いてS/N比向上のための前処理方法について検討を行った。酵素不活化処理の結果、バックグラウンドノイズの低減に成功するとともに、化学発光による新たな病理組織標本を用いた抗原検出技術の確立に成功した。また検出感度においては遺伝子増幅法には及ばないものの、蛍光技術に比較して10倍以上の高感度化を達成した。以上のことから、本研究開発技術は従来法に比較して高感度かつ簡易に測定可能な技術として有用な検出システムであり、癌転移測定技術として応用可能性が高いことが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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