研究課題/領域番号 |
25280105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮野 悟 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50128104)
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研究分担者 |
古川 洋一 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20272560)
東條 有伸 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00211681)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メディカルインフォマティクス / 個別化ゲノム医療 / シリコン・シークエンサー / 消化器癌 / 血液腫瘍 |
研究概要 |
Ion Proton及びHiSeq2500/2000による全ゲノムシークエンス解析の結果発見される数百から数千のがんゲノム変異の中から、がんの悪性化やがん進展に関係するゲノム変化を同定するためのスパコンを使った臨床シークエンスのための情報基盤を検討し整備を行った。まず、生体認証機能によるデータ解析室、及びデータマネージメントシステムを整備した。つぎに、シークエンス解析室においても生体認証機能による入退室管理システムを導入した。また、ビデオによる統合的保安システムを導入した。ネットワークはVPNとsshによる方式を用いることとし、データ解析端末はUSBなどのないシンクライアントとすることとした。これにより、がん細胞と正常細胞の全ゲノムデータをスーパーコンピュータで解析し、これらのゲノムデータを比較して、生まれつき持つ個人の遺伝的背景と後天的にがん細胞が獲得・蓄積したゲノム変異の両方を正確に把握する体制をほぼ構築した。その中で、数検体の大腸がんの全ゲノムシークエンス実施しシステムの検証・改良を行った。データ解析技術の改良のため、同じ検体を用い、HiSeq2000, Ion Proton, SNP Chipによる解析を行い、データを比較し、変異同定のための知見を積み重ねた。Ion Protonを含めることができるようラボラトリー情報マネージメントシステムClarity LIMSの利用法を設計し、導入した。これにより、シリコンシークエンサー、全ゲノムシークエンス生産パイプライン、シリコンシークエンサーに対応したゲノム関連データ解析パイプラインを繋ぎ、生殖細胞変異候補同定システム、がんゲノム変異同定システム、がんパスウェイ推定システム、がんパーソナルゲノム解釈・翻訳パイプライン、全ゲノムシークエンスデータベースの整備が開始された。また、臨床シークエンスに関する国際会議に出席し、情報収集を行うとともに、啓蒙活動のための本「変わる遺伝子医療」(古川洋一著 ポプラ社)を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メディカルインフォマティクスのための情報基盤については、ほぼ整備を完了した。また、Ion Protonからのシークエンスデータに対する革新的な高精度変異同定アルゴリズムも実用化が間近となっている。このアルゴリズムを本格的に組み込むことができれば、情報基盤が一層強固になる。大腸がんについては複数検体の全ゲノム解析を実施するプロセスのなかで、情報基盤をしっかりと整備してきた。
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今後の研究の推進方策 |
血液腫瘍について解析をすすめるとともに、HiSeq2500を組み入れたClarity LIMSの利用法をさらに整備していく。積み重ねられた知見は論文として発表できるように進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
Ion Proton用のシリコンチップ(Proton Chip I)の試薬のバージョンアップ(ver. 3)を待っていたが、予定よりも遅れたため、データ解析の結果を学会等に報告することができなかったため。 平成26年度は、これまでのデータ解析法の発表も含め、新チップ(Proton Chip II)の利用について情報収集及び検証調査を行う。
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