研究課題
平成26年度までに整備したIon Proton及びHiSeq2500/2000による全ゲノムシークエンス解析の結果発見される数百から数千のがんゲノム変異の中から、がんの悪性化やがん進展に関係するゲノム変化を同定するためのスパコンを使った臨床シークエンスのための情報基盤に基づき大腸がんの臨床シークエンスを実施し、結果を得ることができた。また、東京大学医科学研究所に導入されたMiSeqにより、TruSight Myeloid Sequencing Panelを使った臨床シークエンスの準備を開始した。データ解析室、並びにシークエンス解析室のシステムは高レベルのセキュリティを担保して開始したが、データ解析を実施するものからは多少の不自由さがあるとの報告があった。ラボラトリー情報マネージメントシステムClarity LIMSの利用法を設計し、導入したが、いくつかの不具合がシステム自体に見いだされ、Clarity LIMSを作っているGenologic社と一緒にこの改良を行った。これにより、シリコンシークエンサー、全ゲノムシークエンス生産パイプライン、シリコンシークエンサーに対応したゲノム関連データ解析パイプラインが繋がり、サンプル調整からデータ解析までが一貫してできるシステムがほぼできた。このシステムによる成果として、原因が不明であったfamilial adenomatous polyposis (FAP)患者と考えられる原因が、multi-regionalな全ゲノム解析と超ディープシークエンスにより、APC遺伝子モザイシズムであることが判明した。また、高精度の全ゲノム解析パイプラインを開発中であり、平成26年度はヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータシステムに導入できるめどがたった。同時に、臨床シークエンスに関する国際会議に出席し、情報収集を行うとともに、啓蒙活動のために講演活動を行った。昨年度出版した「変わる遺伝子医療」(古川洋一著 ポプラ社)は2014年度大川出版賞を受賞した。
2: おおむね順調に進展している
メディカルインフォマティクスのための情報基盤については、multi-regional全ゲノム解析に基づく臨床シークエンスの実践を通して改良を行い、成果がでることを確認できた。また、Ion Protonからのシークエンスデータに対する革新的な高精度変異同定アルゴリズムを実用化した。これにより、ホモポリマーの問題が解決でき、情報基盤が一層強固になった。
Myeloid Sequencing Panelを用いて血液腫瘍についての臨床シークエンス体制を構築し、10例/月を目標に臨床シークエンスをすすめる。また、Clarity LIMSの利用法を一層改良していく。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件)
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