代表者らが開発しているリンク自動管理システムを基盤として、以下の研究開発を行った。テーマ(1)リンク自動管理システムの拡張による「論理的統合データベース」の開発およびテーマ(2)論理ネットワーク上の芋づる式検索の開発に関しては、世界の主要な公開データベースの情報追加を実施した。特に、ヒトのゲノム多型に関しては、NCBIの作成するヒトの健康に関係するゲノム変異のデータベースClinVarを追加し、ゲノム医科学分野の研究者への利便性を高めた。これにより、ゲノム多型の公共データベースdbSNPが提供するrs番号を使った検索により、6種類のゲノム多型データベースへの一括検索が可能になった。また、代表者らは学術文献から抽出したヒトの遺伝的形質に関わるゲノム多型情報のデータベースVaDEを構築・公開しているが、ここでヒトゲノム多型データベースへのリンク作成のために利用を開始した。この成果について、第38回日本分子生物学会年会およびISMB/ECCB 2015において研究発表を行った。テーマ(3)データ取得用ウェブサービスの開発に関してはすでにRESTによるAPIを公開しており、その詳細はリンク自動管理システムのヘルプページで解説している。テーマ(4)網羅的関連発見ツール(enrichment analysisツール)の開発およびテーマ(5)類似データ自動検索ツール(prioritization analysisツール)の開発については、システムの基本設計は完了したものの、今年度発生した計算機故障への対応に追われたためにソフトウエア作成が大幅に遅れている。今後、これらのツール群の開発を進め、成果を順次公開していく計画である。
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